2015 Fiscal Year Research-status Report
培養肥満細胞による胸腺機能回復:骨髄移植における致死的慢性GVHDの制御
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15K09643
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 良成 金沢大学, 大学病院, 講師 (50324116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨髄移植 / GVHD / 胸腺 / 肥満細胞 / CIK |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は造血幹細胞移植の抗腫瘍効果を増強する方法としてCytokine-induced killer (CIK)細胞の臨床応用を目指しているが、動物実験では軽度の慢性移植片対宿主病(GVHD)が出現してしまう。従来は、アレルギー性疾患の元凶とされた肥満細胞であるが、我々の一連の研究から免疫抑制的な効果があることが示された。
慢性GVHDにおいては、輸注したドナー由来のT細胞が胸腺組織を破壊し、その後ドナー骨髄から新たに供給されたドナーT細胞が正常に教育されないことが問題となる。胸腺組織においての肥満細胞の役割は、現時点明確な答えはないが、何らかの生理的機能は有していると推定される。
27年度は、肥満細胞欠損マウスを用いて、肥満細胞の有無により胸腺細胞の機能に差異があるがどうかを検討し、将来的治療のゴールである肥満細胞療法の可能性について基礎的実験を行った。何も処理、治療を行っていない野生型マウス胸腺と肥満細胞欠損マウス胸腺細胞をFACSを用いて解析した。この状態では、両者に差異は認められなかった。次に非致死量の全身放射線照射を用いて、胸腺を萎縮させ、その後の胸腺回復過程を経時的に評価した。肥満細胞欠損マウスでは、胸腺機能の回復が遷延した。マウスの系統を変えても同様の現象がみられた。以上から、胸腺機能回復に肥満細胞の関与が推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、予定していた実験方法で実験が遂行できている。トラブルもなく適切なデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の結果から、肥満細胞は胸腺再構成に関与していることが強く示唆された。次の段階として同種骨髄移植モデルを用いて、胸腺における肥満細胞の役割を明らかにする。 同時に、最終的な目標であるCIK細胞との併用療法の基礎的実験を開始する。具体的には、肥満細胞を正常骨髄から大量に培養して、CIK細胞と混ぜ合わせた場合に、お互いの細胞機能に影響を与えないことを明らかにする。
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Causes of Carryover |
必要物品を効率的に購入したため若干の繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
若干の繰越金のため、来年度の実験計画に関しての多大な変更はない。予定通り、抗体の購入、消耗品の購入、動物飼育費にあてる。
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