2016 Fiscal Year Research-status Report
培養肥満細胞による胸腺機能回復:骨髄移植における致死的慢性GVHDの制御
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15K09643
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 良成 金沢大学, 附属病院, 講師 (50324116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GVHD / 肥満細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、造血幹細胞移植の抗腫瘍効果を増強する方法としてCytokine-induced killer (CIK)細胞の臨床応用を目指しているが、動物実験では軽度の慢性移植片対宿主病(GVHD)が出現してしまう。慢性GVHDの病態解明とその制御を目指しているが、鍵となる臓器は胸腺と考えられる。一般的には、胸腺はT細胞分化を誘導する臓器で、その構成細胞は、当然のことながらT細胞が主体となる。その中で、我々はアレルギー性疾患の元凶とされている肥満細胞が免疫調整能、T細胞の分化に重要な役割を担っていると仮定し研究を継続している。 胸腺と肥満細胞について、基礎的データの収集を行った。通常の生活環境下では(移植をしない状態)胸腺のT細胞の構成比などは、野生型マウスと肥満細胞欠損マウスとの間で差異は認めなかった。放射線を非致死量照射し、経時的に胸腺細胞を解析すると、肥満細胞欠損マウスではT細胞の回復がCD8、CD4T細胞の両者ともに回復が遅延する事が判明した。このことから胸腺機能の回復に肥満細胞が深く関与していることが推定される。胸腺中の肥満細胞数をFACSで同定すると極々少量であるがしっかりと同定できた。次に、本当に肥満細胞が関与しているのか明らかにする目的で、骨髄から肥満細胞を大量に培養し放射線照射後の肥満細胞ノックアウトマウスに輸注し、胸腺機能が回復するかどうかを検討しているがこの点に関してはいくつかの技術的障壁がありその克服に向けて鋭意検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生株から肥満細胞を大量培養して肥満細胞欠損マウスに輸注を試みている。この過程で障壁があるが全体的な進捗状況は良好といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
大量培養させた肥満細胞を効率的に胸腺へ誘導させる方法の開発が必要である。物理的な小手術で直接的に輸注することを含めて検討する。 また本来の研究目的であるCIK細胞との併用に向けての基礎的データを収集する。
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