2016 Fiscal Year Research-status Report
先天的p53機能亢進型変異による新たな疾患モデルの確立
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15K09644
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中根 貴弥 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (90422683)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス:遺伝子編集技術により、昨年度作成に成功したp53活性化マウス(c.1075_1076insC, p.Ser359GlnfsX20)の表現型の解析を行った。p53活性化マウス(ヘテロ体)では、末梢血で、白血球数が約50%に低下し、赤血球数も20-30%の低下がみられると同時に、MCV (平均赤血球容積)が10-20%増加し、大球性貧血のパターンを示した。Poly(I:C)の腹腔内投与を行うと、p53活性化マウスでは野生型と比べて、白血球数、赤血球数の低下が顕著であり、MCVもさらに増大した。血小板数は野生型では増加したのに対し、p53活性化マウスでは有意に低下した。MlethoCultを用いてマウス造血幹細胞のコロニーアッセイをおこなったところ、p53活性化マウスでは野生型と比較して、有意にCFU-E、BFU-Eの両者が著しく低下しており、造血幹細胞機能に異常が生じていることがあきらかになった。p53活性化マウスに、さらにXpd遺伝子変異を導入したダブルヘテロマウスも作成しているが、現時点ではXpd変異導入による相乗作用は観察されていない。 ゼブラフィッシュ:Xpd遺伝子改変ゼブラフィッシュ(c.510delTinsGGTAA, p.Pro171ValfsX16)のホモ体は受精後72時間の時点で小眼球症・小脳症を認めることを昨年度発見したが、組織学的検査とin situ hybridizationを行い、硝子体の発生過程に異常が生じていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作成した遺伝子編集動物の表現型解析で、極めて特異的な所見の同定に成功し、そのメカニズムの解明も次第にわかってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
p53活性化マウスの骨髄形成不全のメカニズムをさらに明らかにする。具体的には、マウス胎児由来線維芽細胞(Mouse embryonic fibroblast)を作成し、紫外線・放射線照射下において、アポトーシス・細胞周期をp53活性化マウスと野生型で比較する(関連遺伝子のリアルタイムPCRによる発現解析、PI staining、γH2AXの発現、フローサイトメトリーによる細胞周期の解析等)。さらに、マウスで見つかった変化が、ヒトのp53活性化変異を有する患者でも同様にみられるかを、患者から既に得ている線維芽細胞を用いて確認する。
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