2015 Fiscal Year Research-status Report
Siglec-9による活性化好中球細胞死誘導の分子学的機序とその臨床的意義の検討
Project/Area Number |
15K09661
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
加納 原 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50725306)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Siglec誘導性細胞死 / Src family kinase / 細胞内局在 / リン酸化 / Proximity ligation assay |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、顆粒球(好中球)表面に発現するシアル酸受容体Siglecがもたらす顆粒球細胞死の分子学的機序、およびその臨床的意義について検討している。Siglec刺激により細胞死にいたる細胞内シグナル伝達系を同定することは、Siglec依存性の細胞死に関する分子学的マーカーの確立につながるため、同年度はこれに重点を置いて研究を進めた。 免疫科学法による半網羅的解析により、Siglec刺激とSrc family kinase(SFK)のリン酸化に創刊があることが示され、ついでSFK阻害剤はSiglec誘導性細胞死を抑制することが示された。SFKの関与形態としては、①細胞膜に存在するSFKがSiglec刺激により誘導される ②Siglec刺激後に生じる細胞内活性酸素(ROS)により、ミトコンドリア内のSFK(Fgr)が活性化される、のいずれかと想定される。また、SFKでリン酸化されるモチーフにも活性型・抑制型が存在する。 そこでSFKの関与についてより詳細に検索するには、リン酸化モチーフの同定も可能な抗体を用いて、SFKリン酸化の細胞内局在を評価しうる、蛍光抗体法、およびその応用であるproximity ligation assay(PLA)が有用であると考え、これらによる実験系の確立を行った。 リン酸化チロシン抗体4G10を用いた実験では、Siglec刺激後の細胞内リン酸化亢進が確認できた。さらに、抗SFK抗体と4G10による二重染色を行い、PLA法により両者の会合を定量化するための至適条件の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PLA法の確立には蛍光抗体法による条件設定が前提条件となる。顆粒球系において蛍光抗体法により細胞内分子の活性化を評価した研究報告はこれまで乏しく、細胞固定、膜透過処置、ブロッキングなど各段階におうじて条件を検討する必要がある。当初想定していたよりも強力な膜透過処置が必要と分かるなど、この過程でいくつかの試行錯誤を要したことから、全体のスケジュールにおいては若干の遅れをきたしている。
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Strategy for Future Research Activity |
PLA法等によりSFKのリン酸化動態を把握したのち、細胞内・細胞外ROSに反応する色素を併用し、Siglec誘導性細胞死において生じる細胞内ROS産生と、SFKリン酸化の前後関係を明らかにする。 並行して、Siglec誘導性細胞死が自然免疫に及ぼす影響について評価する。具体的には、同一ドナーから得られた培養樹状細胞に、Siglec誘導性細胞死の培養上清を与え、TLRシグナリングの活性化・抑制について評価する。また、Siglec誘導性細胞死の培養上清中における、遊離Siglec細胞外ドメインなどについて定量する。 以上により、細胞内、培養液中のSiglec誘導性細胞死マーカーを同定したのち、種々の炎症性疾患患者の抹消血・血清についてそれらを計測し、臨床像との相関を検討する。
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Research Products
(1 results)