2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性肉芽腫症における遺伝子変異の除去による治療法の開発
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15K09671
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
栗林 太 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60251443)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 活性酸素 / 慢性肉芽腫症 / NADPHオキシダーゼ / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性肉芽腫症(CGD)は殺菌に必須である酵素、食細胞NADPHオキシダーゼの遺伝子異常により、好中球、好酸球や単球による殺菌能が低下し、小児期から致死的な細菌及び真菌感染を繰り返す疾患である。応募者らはこれまで、NADPHオキシダーゼの中心酵素であるgp91phoxの解析を進めてきた。特に平成27年度は単球系が産生する活性酸素とCGDの関連を解析した(J Clin. Immunol. 35(2):158-167. 2015 )。即ち、NADPHオキシダーゼのgp91phoxに遺伝子変異が存在する例において、好中球と単球とのタンパク質の発現が異なることやそのため、感染症の罹患頻度が異なることを明らかにした。また、CGDでは極めて珍しいが、高齢女性の解析を行った(Chest. 147(2):e48-51. 2015)。即ち、成人期まで健康に過ごしていた患者においても、極端なライオニゼイションの結果、疾患になり、感染症を繰り返すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募者は、昨年度に慢性肉芽腫症の原因遺伝子であるgp91phoxの解析を行った他、gp91phoxに特異的に結合する抗体の結合部位や結合様式の解析、及びその抗体をもとにScfvの作成を試みている。現在Scfvの遺伝子解析まで終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
Scfvの遺伝子解析が終了したので、そのタンパク質発現とgp91phoxへの結合の解析を行う。また、モノクローナル抗体7D5のgp91phoxへの結合部位の解析やScfvとの競合実験を行う。現在これらの発現ベクターの構築を計画している。
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Causes of Carryover |
平成27年度においては、物品費と旅費の使用がなかった。物品費に関しては、応募者の所属教室の講座費からの支出にて、本研究の遂行に支障がなかった。また、旅費に関しては、成果発表としての学会出張があったが、これも講座費から支払いを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に於いては、本申請課題の遂行のために、科研費から物品費として、実験試薬等を購入予定であり、一部使用させていただいている。旅費に関しては、国内学会(東京、横浜)での発表のために使用予定である。
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