2015 Fiscal Year Research-status Report
Trim32を標的とした新たな神経芽腫分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
15K09674
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Research Institution | 地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(医学研究所) |
Principal Investigator |
泉 秀樹 地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(医学研究所), その他部局等, その他 (10397987)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分化誘導療法 / 神経芽腫 / 非対称分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新規分化誘導分子 Trim32 が神経芽腫細胞への増殖抑制および分化誘導効果を発揮する際の分子的基盤ならびに分子標的を明らかにし、新しい作用機序による神経芽腫の治療法を確立することを目的とする。本年度は、Trim32の過剰発現、あるいはこれに加えて神経芽腫の治療薬である13-cisレチノイドとATRAを組み合わせて細胞分化の誘導を試みた。その結果、Trim32は、神経幹細胞のマーカーであるnestinと、多くのがん幹細胞のマーカーと考えられているCD133の発現を共に劇的に低下させることを明らかにした。またヒト神経芽腫の培養細胞を用いてTrim32を過剰に発現するように操作したところ、非対称細胞分裂が誘導されることを以前報告したが、nestinとTrim32による非対称分裂の観察にも成功した。さらに、がん幹細胞のみが増殖しやすいスフェア環境下では、Trim32とレチノイド処理した細胞では、劇的に増殖停止した。これらの結果から、Trim32は神経芽腫のみならず、多くの神経系のがんの分化誘導を引き起こす治療薬になることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、Trim32の過剰発現あるいはこれに加えて神経芽腫の治療薬である13-cisレチノイドとATRAを組み合わせて細胞分化の誘導を試み、神経幹細胞のマーカーであるnestinと、多くのがん幹細胞のマーカーと考えられているCD133の発現を共に劇的に低下させることを明らかにしている。またヒト神経芽腫の培養細胞を用いてnestinとTrim32による神経幹細胞と分化細胞に分かれる非対称分裂の観察にも成功している。したがって、当初の研究計画通りに順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
Trim32 とATRA または13-cis を併用処理した時の遺伝子発現をcDNA microarrayによって解析し、発現が上昇するもの、低下するものを、上位3 遺伝子群を抽出し、これらの遺伝子発現と増殖抑制および分化誘導との関連性をsiRNA による発現阻害や、逆に過剰発現の実験を行い、併用処理による増殖抑制および分化誘導に関連しているか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬が年度を跨いて納品予定となり、次年度に改めて購入することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度予定の試薬を次年度になり次第、早急に発注する。
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