2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症の病態に、インスリン分泌促進ホルモン、およびその分解酵素は関与するか?
Project/Area Number |
15K09684
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細川 奨 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00737025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40401393)
磯部 光章 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80176263)
土井 庄三郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80262195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺高血圧症の改善 / GLP-1受容体作動薬 / DPP-4阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インスリン分泌促進ホルモンであるGLP-1、およびその分解酵素DPP-4が、肺高血圧症の病態に果たす役割を検討し、創薬への可能性を探るものである。以下に研究結果を示す。 (1)生存率他;ラットにモノクロタリン(MCT)を皮下注射し肺高血圧症モデルを作成した。MCT群、MCT + リラグルチド(GLP-1受容体作動薬)、MCT + アログリプチン(DPP-4阻害薬)、MCT+ リラグルチド + アログリプチンにおいて、MCT投与開始30日での生存率は、各々5%、60%、45%、65%、また心臓カテーテル検査による右室圧は、各々25.4±1.4、85.9±1.2、25.9±1.6、33.0±4.1、34.7±4.0mmHgと、治療群で著明に改善した。免疫組織化学染色では、肺小動脈において、MCT群で認めた中膜の著明な肥厚が、治療群では多数の血管で軽快した。 (2)遺伝子発現;各群の肺組織を、定量PCRを用い、肺高血圧症に関与する遺伝子(35種類)の発現量を検討した。リラグルチド、アログリプチン投与群いずれも、塩基性線維芽細胞成長因子(FGF2)、プラスミノゲン活性化抑制因子がMCT群での上昇に比べ軽減した。一方で、電位依存性カリウムチャネル、カベオリン1は、MCT群に比べ軽度の減少にとどまった。またリラグルチド群では、組織因子の発現が抑制され、アログリプチン群では、CD28、CD86といったT細胞共刺激因子がMCT群で上昇、アログリプチン群で軽減した。 (3)共培養;FGF2で刺激した肺動脈平滑筋細胞とJurkat-CD26細胞株を共培養したところ、Jurkat-parent株との共培養に比べ、強い細胞増殖を示した。 今後は、作用機序をさらに解明するために、研究計画に基づき検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)