2015 Fiscal Year Research-status Report
カテコラミン感受性多型性心室頻拍の効率的な診断・治療法の確立
Project/Area Number |
15K09689
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大野 聖子 滋賀医科大学, アジア疫学研究センター, 特任講師 (20610025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | カテコラミン誘発性多型性心室頻拍 / リアノジンレセプターチャネル / QT延長症候群 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)は、運動や興奮刺激により発症する多型性心室頻拍で、心室細動に移行し突然死を来す遺伝性疾患である。好発年齢は10才前後であり、若年者の突然死の原因として重要な疾患である。同年代で失神を契機として診断される遺伝性不整脈疾患にQT延長症候群I型(LQTS1)が挙げられる。しかしLQTS1はCPVTと比較して予後が良好であり、突然死防止のためには、早期の鑑別が重要である。そこで、運動時に失神や心肺停止(CPA)を来した20歳以下の患者155人について調べた。紹介時の診断はLQTS1109人、CPVT46人であったが、遺伝子検査の結果、LQTSと診断されていた患者6人に、CPVTの原因遺伝子であり心筋リアノジンレセプターチャネルをコードするRYR2の変異を同定した。またCPVT患者46人中38人にRYR2変異を同定し、LQTS患者の75人にLQTS1の原因遺伝子であるKCNQ1変異を同定した。44人のRYR2変異キャリアと75人のKCNQ1変異キャリアを比較したところ、RYR2変異キャリアのほうがCPAの頻度が高く、徐脈傾向であり、QT時間が短いことが明らかになった。さらに運動負荷試験後のQT延長がKCNQ1変異キャリアでは遷延することが明らかになった。そこで、これらの指標を用いてCPVTとLQTS1の鑑別を行うための診断基準を作成したところ、感度94%、特異度96%と高い数値を得ることができた。今後登録患者数を増やして解析を続ける予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
登録済の患者155人についての解析では、CPVTとLQTS1との鑑別が可能なことを示した。しかし徐脈を指標としたCPVTのスクリーニングは十分に実施できておらず、今後の登録を引き続き行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
学校心電図健診担当者との協力により、徐脈症例の登録と運動負荷試験の実施を進め、CPVT症例の早期診断を目指す。
|
Causes of Carryover |
今回、患者登録が予定より遅れており、遺伝子解析実施数が減少したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に繰り越して、遺伝子解析実施予定。
|