2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effective diagnosis and establishment of the therapy for catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia
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15K09689
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カテコラミン誘発性多形成心室頻拍 / RYR2 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tathycardia, CPVT)は、若年者に運動や精神的興奮を契機として、多形性心室頻拍から心停止をきたす遺伝性の疾患である。類縁疾患の先天性QT延長症候群(Long QT syndrome)とは異なり、安静時心電図では異常を示さず、 診断の困難な疾患である。唯一の安静時心電図の特徴として比較的徐脈を呈することがあるため、学校検診で徐脈傾向を呈した児童に対して運動負荷試験を実施ししたが、疾患頻度が1万人に1人程度であるため、CPVT患者の同定はできなかった。 CPVTの主要な原因は心臓リアノジンチャネルをコードするRYR2の変異である。そのため、CPVTが疑われる患者121人に対してRYR2のスクリーニングを実施し、RYR2変異を61人に同定した。さらに新規に報告されたCPVTの原因遺伝子についても解析を進め、CALM1およびCALM2にそれぞれ1つずつの変異を同定した。 CPVTは遺伝性の疾患と考えられるため、運動時に心停止を来したとしても疑われないことがある。しかし遺伝子診断を実施していると、新規突然変異が非常に多い。そこで、発端者である子供と両親の遺伝子解析を行った26家系について調べたところ、実に17家系において、同定された変異は新規突然変異であった。 また心肺停止した患者で蘇生後の心電図ではQT延長を呈することが多いため、CPVTがLQTSと誤診されていることがある。そのため、LQTSと診断されていた運動時・興奮時に症状を呈しLQTSと診断されている患者136人についてもRYR2の解析を行ったところ、20人にRYR2変異が同定された。 これらの結果から、RYR2の遺伝子診断がCPVTの診断には不可欠である。
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