2016 Fiscal Year Research-status Report
ナトリウム利尿ペプチド受容体cGMP恒常産生変異による肺高血圧治療の多角的開発
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15K09690
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小垣 滋豊 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00311754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 邦彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10610230)
那波 伸敏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30617543)
馬殿 洋樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60644614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小児循環器学 |
Outline of Annual Research Achievements |
変異型NPR2を導入するためのセンダイウイルスをSugen-Hypoxia肺高血圧症ラットモデルの肺動脈に感染させた。今回はラットを麻酔下に側開胸し、片側の肺動脈にセンダイウイルスを注入したうえで肺動脈血流を一定時間遮断するという手法をとった。予備実験として、GFPを発現させるセンダイウイルスベクターを導入し、肺血管平滑筋細胞に遺伝子導入が確実に行われること、他臓器への遺伝子導入は無視できるほどであることを確認した。この変異型NPR2導入により、肺組織でのcGMPは有意に上昇し、肺血圧は有意に低下し、肺組織における肺血管の中膜肥厚や末梢肺血管の狭窄も、有意に改善した。この遺伝子治療に伴って死亡したラットはいなかった。すなわち、この変異型NPR2による遺伝子治療の安全性と有効性が確認された。 一方で、変異型NPR2の立体構造解析による創薬も開始している。タンパク立体構造予測サーバーのひとつ、I-TASSERをもちいて、NRP2のV883M変異によってもたらされる立体構造変化を可視化し、Val883はNPR2活性に重要と考えられているNPR2グアニリルシクラーゼドメインの疎水性ポケットの近傍に位置していることを明らかにした。さらに、市販されている低分子化合物を、バーチャルスクリーニング用に3次元構造へ変換させた網羅的データベース‘ZINC database’と、分子モデリングシミュレーションソフトウェアである‘AutoDock Vina’ を用いて、治療薬の候補となる低分子化合物を明らかにした。現在、その低分子化合物を有望なものから購入し、肺動脈平滑筋細胞に投与することで、細胞内cGMPが実際にどの程度上昇するか検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にしたがって、変異型NPR2を用いた遺伝子治療の有効性と安全性を、Sugen-Hypoxia肺高血圧症モデルラットを用いて確認し、論文として発表した。さらに、遺伝子治療によらない新規治療法開発のため、研究計画書通り、大規模なデータベースと三次元立体構造シミュレーションを用いて、肺高血圧症の治療薬候補となる多くの低分子化合物をリストアップすることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは‘ZINC database’と、分子モデリングシミュレーションソフトウェアである‘AutoDock Vina’ を用いて同定された、NPR2の恒常活性型立体構造変化を誘導すると推定される低分子化合物について、有望なものから順に購入し、実際にcGMP上昇を誘導することができるか確認する。細胞としては、ヒト肺動脈平滑筋細胞を用いる。これらの候補化合物について、3-4パターンの薬物濃度でもって、肺動脈平滑筋細胞に添加し、細胞内cGMP濃度をEIA法を用いて測定する。コントロールとして、現在臨床応用されている細胞内cGMPを上昇させる肺高血圧症治療薬である、シルデナフィルとリオシグアトを肺動脈平滑筋細胞に投与し、そのcGMP上昇効果と比較して、既存薬剤よりも大きく上昇させる薬剤を見出していく。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Constitutively active form of natriuretic peptide receptor 2 ameliorates experimental pulmonary arterial hypertension.2016
Author(s)
Nawa N, Ishida H, Katsuragi S, Baden H, Takahashi K, Higeno R, Torigoe F, Mihara S, Narita J, Miura K, Nakamura K, Kogaki S, Ozono K.
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Journal Title
Mol Ther Methods Clin Dev
Volume: 3
Pages: 16044
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Prognostic predictive value of gene mutations in Japanese patients with hypertrophic cardiomyopathy.2016
Author(s)
Chida A, Inai K, Sato H, Shimada E, Nishizawa T, Shimada M, Furutani M, Furutani Y, Kawamura Y, Sugimoto M, Ishihara J, Fujiwara M, Soga T, Kawana M, Fuji S, Tateno S, Kuraishi K, Kogaki S, Nishimura M, Ayusawa M, Ichida F, Yamazawa H, Matsuoka R, Nonoyama S, Nakanishi T.
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Journal Title
Heart Vessels
Volume: Nov 24
Pages: Epub
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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