2015 Fiscal Year Research-status Report
思春期における気管支喘息の寛解あるいは発作持続に果たす神経原性炎症の役割の解明
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15K09698
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
徳山 研一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30237078)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 気道炎症 / 神経原性炎症 / 寛解 / 思春期喘息 / 呼気一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、study1とstudy 2からなる。study1は、定期通院中の思春期喘息児を対象として、長期管理薬なしにて発作寛解状態にある児、および長期管理薬使用中の種々の重症度にある児の神経原性炎症の活性化状態を各群間で比較することである。また、発作コントロール状態との関連についても検討する。神経原性炎症の活性化状態は、①気道局所の神経ペプチドの定量化、②TRPV1の発現状態、③カプサイシンに対する咳感受性、を指標とする(study Ⅰ)。寛解群の評価に当たっては、亜型の存在を念頭に気道過敏性、呼気中NO値、強制オッシレーション法による気道抵抗などの結果からサブ解析を行う。 study 2は、study1にエントリーした喘息児について、発作コントロール状態を経時的に観察し、半年後および1年後に上記神経原性炎症の再評価を行う。発作コントロール状態の悪化(寛解児では発作の再燃、治療群では予防的治療の治療ステップアップなど)の有無と神経原性炎症活性状態の変化の関連を明らかにする。 本年度は、発作寛解状態にある喘息児の気道炎症マーカーとしてFeNO値を測定し、その背景となる喘息の病歴について検討した。即ち、NIOX MINO (Aerocrine 社製 )を用いてFeNOを測定し、喘息発症年齢、喘息罹患期間、無治療状態の継続期間、過去の重症度などの病歴との関連を評価した。その結果、FeNO値は 5-175 ppb と幅広く分布した。発作の罹患期間が長かった例ほど、寛解による無治療状態が長時間継続している例ほどFeNO値は高値を示す傾向にあった。また、過去の重症度が重症持続型であった群では、軽症および中等症持続型であった群より有意に高値を示した。以上から、寛解喘息児の中には気道炎症の存続している例が少なからず存在し、過去の重症例ほどその傾向が強い可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経原性炎症の評価として、末梢血中の神経ペプチド(ニューロキニンA 、サブスタンスPなど)の測定を予定している。測定キットはヒト血中レベルの測定が可能であることは確認しているが、検体数がそろっていないため測定には至っていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
寛解例や発作時の検体数を増やしていきたい。
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Causes of Carryover |
得られた検体量が不十分のため、予定していた神経ペプチドの測定キットの購入を翌年に回したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検体量を増やし、神経ペプチド測定キット購入に充てる
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Research Products
(10 results)