2015 Fiscal Year Research-status Report
運動処方による複雑先天性心疾患の運動耐容能改善の試み
Project/Area Number |
15K09700
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 健 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70343481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 慶一 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70458777)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / 運動負荷超音波 / 左室拡張能 / 流体力学 / ファロー四徴症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の特徴は、先天性心疾患に対して運動時の検査を行うことにある。先天性心疾患において、心機能の流体力学的検査は、安静時および運動時において、世界でも殆ど行われていない。そのため平成27年度は、先天性心疾患の中では比較的運動負荷超音波が行いやすいと考えられるファロー四徴症について、初めに安静時超音波を、次に運動負荷超音波を施行するに至った。 安静時のファロー四徴症のおける心臓超音波検査により、従来の心機能の指標では正常であっても、流体力学を導入した解析を行うと、左室の中間部から心尖部において、拡張早期における陰圧形成による、血液の急速流入が小さいことが判明した。以前よりファロー四徴症において、左室機能低下が最も臨床的に重要であることが証明されていたが、その詳細な機序は不明であった。しかし今回の発見により、新たな左室機能低下の機序が示唆され、臨床上大変有用な発見である。 次の段階として、運動負荷時の超音波検査を行った。運動中の心臓超音波検査は、早い心拍、大きな呼吸、体幹の動揺等があるため高度な技術を要する。30名の正常者の運動負荷超音波を行い、その技術を習得した。またこれにより、流体力学を用いた新たな心機能の指標である左室内圧較差は、負荷量に応じて増加することを明らかにした。これは運動時負荷への心臓の対応の機序として新たな発見であり臨床的に大変重要である。 次に15名のファロー四徴症に対して運動負荷超音波を行い、先天性心疾患における運動負荷超音波の技術を習得した。現在全てのデータは解析用のPCに保存され、解析を待っている状況である。 以上世界でも類を見ない、先天性心疾患における運動時流体力学的心機能解析を行い、新たな発見をしてきたため、大変有用な一年間であったと考えれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究の最も基本となる運動負荷超音波検査であるが、予測以上に技術の習得が困難であった。また流体力学的解析方法も、独自に解析プログラムを作成した新しい解析方法なので、運動負荷超音波時に発生するノイズへの対応や、初期設定の変更など、プログラムの細かい修正なども必要であった。以上より、計画よりもやや進行が遅れている状態にある。しかし上記二つの問題は解決したので、今後進行を取り戻せることが予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより難易度の高い、単心室症例における運動負荷超音波検査を施行する予定である。また当研究のもう一つの重要項目である、運動耐容能検査を行っていく予定である。運動処方に関しては、患者の社会的活動状況に応じて処方を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要に入力した通り、本研究は先天性心疾患の心機能の運動時超音波検査による流体力学的解析が一つの柱となる。世界でも類を見ない方法であるため、技術の習得や、解析プログラムの調整に時間がかかった。そのため次の段階である運動耐用能検査には至っておらず、その時に使用するマスクの購入を行っていない。また、まだ大量のデータ解析を行う段階に至っていないため、解析用のコンピューターおよび解析ソフトの購入も行っていない。そのため、計画と実際の使用額の差が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度からは大量のデータ解析を行うため、コンピューターおよび解析ソフトの購入予定である。また運動耐用能検査時に使用するマスクも予定通り購入する。また大量のデータ保存用の外付けハードデスクも購入予定である。 以上昨年行う予定だった物品購入を今年度に行うため、使用時期は遅れたが、使用額及び内容については、当初提出した計画書通りに使用する計画である。
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Research Products
(8 results)