2016 Fiscal Year Research-status Report
小児肝疾患におけるオキシステロールの病態解析とバイオマーカーとしての可能性
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15K09704
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
水落 建輝 久留米大学, 医学部, 助教 (20368921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オキシステロール / 小児 / 肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
オキシステロールは主に肝臓で生合成される酸化コレステロールの総称である。生体内では異化代謝の中間生成物であるほか、核内レセプターのリガンドとしても機能しており、様々な疾患の病因やバイオマーカーとして報告されている。成人では肝疾患、動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー病、癌など幅広く報告されているが、小児領域の報告はほとんどない。健常小児の年齢(成長)に伴うオキシステロールの動態変化、小児肝疾患群との関連性を研究することで、オキシステロールが関与する疾患の発見、その新たな病態解析と治療開発、体内状態のバイオマーカーとしての有用性などへ繋がる可能性がある。以上のように、本研究はオキシステロールの健常小児年齢別基準値作成と、小児肝疾患での解析を目的とする。 久留米大学倫理委員会の承認後、久留米大学病院小児科の外来・入院患者から、書面による同意を得たのちに血清と尿検体の採取を行った。平成29年3月の時点で、小児肝疾患群・小児健常児群の検体が合計で約70検体採取できている。 検体の一部はオキシステロール分析が完了しており、それらを用いた解析では、血清より尿の方が数種類のオキシステロール値において肝疾患児と健常児で有意差を認めている。また、健常児を年齢別に分けると、尿オキシステロールに発達的推移が認められた。 今後は、採取した検体全てのオキシステロール分析を完了し、小児肝疾患でのバイオマーカーとしての有用性及び、小児健常群での基準値作成を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はオキシステロールが小児肝疾患のバイオマーカーとなり得るパイロットデータ及び、小児健常群の年齢別の変化を疑うパイロットデータ、いずれも得ることができたので、おおむね順調に進展していると言える。 また、今年度に取得できた検体数も想定内の範囲であった。
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Strategy for Future Research Activity |
保存検体を全て分析し、小児肝疾患群と健常児群での比較検討を行う。同時に、健常児群を年齢別でいくつかの群に分けて、発達的推移がないかの検討、健常児基準値の作成を行う。 得られた結果は、学術学会での発表、学術論文投稿を行い、社会に情報を発信していく。
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Causes of Carryover |
今年度にオキシステロール分析した検体数が、予定よりやや少なく、それに伴い解析にかかる物品費が少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に検体数を上乗せし、それにかかる物品費や機材メンテナンス費にあてる。
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