2016 Fiscal Year Research-status Report
発達期の栄養環境変化による個体の脆弱性形成のメカニズム
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15K09728
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑形 麻樹子 昭和大学, 医学部, 客員教授 (70398684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DOHad / 遺伝子解析 / 新生児期低栄養 / マウス / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期の栄養制限は出生後のカロリー摂取過多で増悪し摂取制限では改善するという逆作用に着目して、我々は21個の責任遺伝子群を選抜している。本研究では、この責任遺伝子群を手掛かりに、発達期に影響環境の変化を受けた児の成熟期にストレス負荷をかけたときの生体反応の違いを調べ、生活習慣病および精神疾患羅漢のメカニズムを検索している。 平成28年度は、1年目に終了した動物実験から得られた組織サンプルを用いて形態学的観察および分子生物学的検索を進めた。すなわち、C57BL/6Lマウスの生後1週間に対照群の50%給餌量(CE-2,固形飼料)を与え、その後は自由摂取をさせ母動物に哺育された児(FR群)を生後11週まで哺育し、免疫賦活剤であるLipopolysaccharide(LPS)を3日間投与した翌日に解剖し、組織サンプルを得た。 脾臓の病理組織学的観察、対照群と比較してFR群では白脾髄の中心動脈周囲領域(PALS領域)のT細胞が少なく、辺縁帯の樹状細胞(抗原提示細胞)の局在および細胞数は多かった。LPS投与により両群ともにPALS領域が減少し、組織球浸潤が顕著にみられたが、これらの変化はFR群でより顕著であった。胸腺では、被膜直下の大型T細胞は目立ったが皮質構成細胞は減少していた。LPS投与により両群ともに顕著な萎縮がみられた。 これらの結果から、新生児期の給餌制限により、免疫器官の発達に影響を及ぼすこと、LPSに対する反応を増強させることが明らかにあった。同個体の肝臓を用いて、現在、選抜した遺伝子群の変動をRT-PCRにて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫器官の病理組織学的観察結果から、新生児期の栄養環境変化は成熟期の免疫機能に影響を及ぼす可能性さらに自然免疫系が継続的に優位になっている可能性が明らかになり、今後の研究の発展への手がかりがつかめた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成29年度は、免疫組織以外の主要臓器の病理組織学的観察を行う。また、肝臓サンプルにおける21個の候補遺伝子群の発現推移を確認し、DOHaD概念に基づいた生活習慣病および精神疾患羅漢のメカニズムを考察する。
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Causes of Carryover |
本研究費用のウエイトを占めるオミクス解析が終了していないことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
オミクス解析を実施するとともに、成果発表を国内外にて行う予定である。
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Research Products
(2 results)