2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈管酸素感受性と収縮弛緩制御におけるヒートショックタンパク質の役割
Project/Area Number |
15K09730
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
羽山 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00349698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動脈管 / HSP70 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象であるHSP70には、複数の近似のHSP70(HSP70-1 (遺伝子名HSPA1), HSP70-2 (HSPA2), HSP70-5 (別名 Grp78, HSPA5), HSP70-6 (HSPA6), HSC70 (HSPA8), HSP70-9 (別名Grp75, HSPA9)が存在する。初年度は、満期胎仔動脈管に高発現するHSP70種を確定すべく、HSP70類の転写物の発現量を定量PCR法を用いて分別測定し、さらに複数の市販のHSP70抗体を用いて動脈管を免疫染色して、発現するHSP70種を確定することから研究を開始した。HSP70類の転写物の発現量の定量からは、HSPA2が本命との結論を得たが、抗HSPA2抗体(Santa-Cluz, K12)は、先に用いた抗HSP70/HSC70抗体(Santa-Cruz, W27)のように特異的に満期胎仔動脈管を染色しなかった。現在、市販HSP70抗体との反応性を見極める実験や抗原蛋白質として抗体作製に用いるため、HSPA2トランスクリプトを動脈管を試料として大腸菌発現用プラスミドにクローニングし、HSPA2蛋白質を調製する作業を実施している。 実験動物の血管組織をin vitroで血管収縮弛緩薬とインキュベートする本研究用の試料調製は進行しており、血管蛋白質の抽出も複数の方法で行った。予備検討として実施したA7r5細胞やCOS7細胞抽出蛋白質のフォスタグ電気泳動(リン酸化蛋白質を分離する)条件は好適なものになったが、血管抽出物蛋白質はフォスタグ電気泳動に適した試料調製がなかなか難しく、まだ調整が必要な状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、動物血管試料の採取やin vitro薬剤処理実験は進行したが、満期胎仔動脈管に高発現するHSP70種の確定に手間取っていること、市販抗体のエピトープが判然とせず、自作抗体を調製した方が研究をスムースに実行できるのではないかと考え、抗体作製を先行していること、フォスタグ電気泳動に即した血管蛋白質試料の調製法に悩みがあること、などの理由で、全体としてやや遅れていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記載したとおり、満期胎仔動脈管に高発現するHSP70種の確定を進め、引き続きそのHSP70種を認識する抗体を調製、さらにエピトープを決定して、蛋白質実験(研究3)に供したい。HSP70種の確定が出来れば、シグナル伝達パスウェイの検討を進められる(研究1)。研究2のHSP27のフォスタグ電気泳動を用いたリン酸化の分析には、血管試料の調製法の改善が必要なことから、この改良実験に時間を注ぎたい。
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