2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢血白血球で発現するⅦ型コラーゲンの意義はなにか?
Project/Area Number |
15K09739
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中野 創 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90281922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 英二郎 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30436034)
六戸 大樹 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50436036)
澤村 大輔 弘前大学, 医学研究科, 教授 (60196334)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 末梢血白血球 / Ⅶ型コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
優性または劣性遺伝性皮膚疾患である栄養障害型表皮水疱症(DEB)はⅦ型コラーゲン遺伝子(COL7A1)の病的変異により発症する。通常、遺伝子診断は患者DNAを用いたCOL7A1遺伝子のPCRによる増幅産物を直接シークエンスすることによって検索される。ただし、一部の症例ではCOL7A1の転写産物であるメッセンジャーRNAの一次構造を解析する必要がある。その際、COL7A1メッセンジャーRNA(COL7A1 mRNA)を採取するためには患者から皮膚を採取する必要があるが、生体への侵襲が避けられない。そこで、目的にかなった代替組織を探したところ、末梢血単核球画分がCOL7A1 mRNAを発現していることを見出した。次に、複数種の細胞の集合である末梢血単核球画分のいずれの細胞がCOL7A1 mRNAを発現しているかを同定するために分離培養を試みたが、COL7A1 mRNAは間葉系由来である皮膚線維芽細胞で多く発現していることから、末梢血間葉系幹細胞(PBMSC)で発現していると推測し、これの分離を試みた。培養系の骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)ではCOL7A1 mRNAが発現していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スライドカルチャーで培養した末梢血単核球を免疫蛍光法で観察したところ、CD105(+)、CD29(+)、CD34(-)、CD45(-)の細胞が観察され、これらはPBMSCであると考えられたが、これらの細胞においてCOL7A1タンパクの発現が確認された。CD105、CD29は間葉系細胞のマーカーであることかPBMSCを分離しようと試みたが、CD105(+)、CD29(+)の細胞を回収することができなかった。DEB患者から末梢血単核球を分離し、ゲノムDNA、全RNAを抽出し、遺伝子変異検索を行ったところ、ゲノムDNAで同定した遺伝子変異を裏付ける変化がRNAでも確認できたため、患者末梢血中の単核球は遺伝子変異検索に有用であることが確認できた。以上のことから今年度の計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、培養細胞中に免疫蛍光法で確認した間葉系幹細胞と思われる細胞を分離培養するために、カクテル抗体ビーズを用いた細胞濃縮法と、TGF-betaや線維芽細胞増殖因子などを組み合わせた細胞培養法を行う。
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Research Products
(11 results)