2016 Fiscal Year Research-status Report
EBウイルス関連リンパ球増殖性皮膚疾患の病態と予後に関わる分子・細胞マーカー解析
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15K09744
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩月 啓氏 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80126797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 智子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (30749627) [Withdrawn]
平井 陽至 岡山大学, 大学病院, 助教 (10756068)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床 / ウイルス / 感染症 / 癌 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.皮膚病変におけるEBウイルス(EBV)再活性化シグナルの解析:慢性活動性EBV感染症(CAEBV)関連疾患である種痘様水疱症(HV)と蚊刺過敏症(HMB)の皮膚病変におけるEBV感染リンパ球の再活性化シグナルの解析を行った。重症および予後不良群の皮膚病変ではEBV再活性化シグナルのBZLF1 mRNA発現を認めたが、その下流のシグナルはほぼ検出できない。細胞傷害性T細胞(CTL)の非存在下のin vitro では、下流シグナルが検出される。すなわち、生体内ではCTLにより、再活性化途中でEBV感染リンパ球が排除される。BZLF1 mRNA 発現は治療介入を決定するバイオマーカーとなり、今後、CTLの認識するエピトープ解析が治療標的になる可能性を示唆する。 2.EBV感染リンパ球サブセット解析と予後:我々が提唱した臨床病型(古典的および全身型HV、HMB)は生命予後と関連するので、この病型分類は臨床的意義がある。今年度は、リンパ球サブセットと予後の解析を行った。その結果、全身型HVには、γδT細胞優位型とαβT細胞優位型症例があり、αβT細胞優位型は成人や老人発症があり、その予後は不良であった。 3.EBV感染細胞のレパトア解析:我々はHVがEBV感染γδT細胞によって誘導されることを報告してきた。αβT細胞優位型の全身型HVの皮膚病変のT細胞受容体レパトア解析結果では、皮膚病変においては、末梢血と同じγδT細胞クローンが検出された。すなわち、末梢血ではαβT細胞優位であっても、HVの皮膚病変はγδT細胞によって生じると考えた。 4.紫外線によるEBV感染γδT細胞遊走:紫外線により表皮細胞から産生されるγδT細胞走化因子につき検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)EBV感染リンパ球サブセットの細胞学的特性(平成27-29年度継続):順調に症例集積とサブセット解析結果が得られている。新たな知見として感染細胞はCCR4を発現しており、将来の治療標的になる可能性がある。2)T細胞受容体遺伝子(TCR)レパトア解析を導入し、微量な検体からT細胞クローン解析が可能になった。同時にCDR3領域の配列解析からサブクローンの解析も可能になった。3)紫外線照射で誘導される皮膚由来因子によるEBV感染γδT細胞遊走と活性化:EBV感染γδT細胞株は、紫外線による表皮細胞由来因子(未同定)により遊走をすることが示された。4)EBV再活性化と宿主免疫応答の解析:EBV再活性化マーカーであるBZLF1 mRNAが皮膚病変で検出された。CTL非存在下ではその下流のシグナルも検出できるが、病変部では検出できない。宿主免疫応答によって活性化したウイルス感染細胞が排除されるものと思われる。5)病態の進行と予後に関わる分子・細胞マーカーとHLAを含めた遺伝免疫学的要因の探索:我々の病型分類、 BZLF1発現、発症年齢(9歳以上)、αβT細胞優位型が予後因子として重要であることを見出した。我々の低侵襲EBV遺伝子発現検査法の鋭敏度と特異度の検定を行い論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度(最終年度)の研究実施計画 1)EBV関連皮膚T/NK細胞増殖症に関与するEBV感染リンパ球サブセットの細胞学的特性:継続的にデータを集積し、予後との関連を解析する。臨床データとともに生体試料を保管する。2)T細胞受容体(TCR)レパトア解析:次世代シーケンサーを用いたTCRレパトア解析を集積する。3)紫外線照射で誘導される皮膚由来因子によるEBV感染γδT細胞遊走と活性化:遊走因子の絞り込みを行い、感染細胞のEBV再活性化を調べる。4)EBV再活性化と宿主免疫応答の解析:再活性化を誘導する因子と抑制因子についての解析を進める。5)病態の進行と予後に関わるEBV遺伝子発現、分子・細胞マーカーと遺伝免疫学的要因の探索:αβT細胞優位型とγδT細胞優位型の予後の違いについて検証し、論文化をおこなう。HV, HMBおよびCAEBVにおけるエクソーム解析(名古屋大学、京都大学との共同研究)にて検出された宿主およびEBVの遺伝子異常についてさらに検討を進める。
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Research Products
(13 results)