2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09746
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石川 一志 大分大学, 医学部, 助教 (80600452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 浩光 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70330826)
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80178003)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | epiplakin / タイトジャンクション / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピプラキンはヒトではBドメイン構造が13個、マウスでは16個、直列に繰り返し配列すると報告されていた。そこで、long PCRの技術を用いてエピプラキン遺伝子の長さを測定すると、ヒト培養細胞株では、繰り返し構造が13個というデータが正しいと結論づけられた。しかし12名のヒトの遺伝子を解析したところ、C末端側の規則的な繰り返し構造部分に、数の多様性が見られ、この多様性が疾患と関連があるのではないかとの仮説を立て、本研究を行った。 一方アトピー性皮膚炎の原因の一つにフィラグリン遺伝子異常が知られているが、エピプラキンは分子構造が類似している。また3次元培養下でのHeLa細胞塊の外側の細胞層に、近年バリア機能との密接な関係が示唆されているタイト・ジャンクションとともに局在している。 そこで、エピプラキンの遺伝子の多様性を、正常人13人とアトピー性皮膚炎10人について調べた。またリピート数の多様性は、いかに遺伝するのか、あるいは減数分裂時に組み換えが生じるのかを、両親とその子の遺伝子で明らかにしようとした。 エピプラキンの遺伝子の長さを比較したところ、サイズの分布の片よりは見られなかった。親と子の3組の解析では、親のリピート数を子は受け継いでいた。 一方種々のヒト細胞株でのエピプラキンのサイズも異なることも知られていた。そこでSCC25、KU-8、NHSAEの3種の細胞株のエピプラキンの遺伝子の長さを比較した所、NHSAEは、標準サイズと長いサイズのヘテロ接合体であった。免疫ブロットでは、NHSAEは、KU-8よりエピプラキン・サイズの大きいものを含むことが知られていたが、SCC25のエピプラキン・サイズは不明であった。そこで、免疫ブロットで、SCC25のエピプラキン・サイズを確認したところ、KU-8由来のものと一致し、分子サイズの多様性は、遺伝子サイズの多様性から矛盾なく説明できた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的には、アトピー性皮膚炎の他に、水疱症、角化症、皮脂欠乏性皮膚炎、乾癬患者と皮膚腫瘍患者を含めていたが、それらの患者のDNAはまだ集められていない。しかし、当初の計画を変更して、細胞株の遺伝子解析を行い、これまで謎であったエピプラキンの分子サイズの多様性が、遺伝子の長さの違いによることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
アトピー性皮膚炎患者と健常者のDNAをさらに収集し、もっと大きな集団同士を比較して、真にエピプラキンの遺伝子サイズ(即ち分子サイズ)に有意差があるか否かを確認したい。さらにエピプラキン遺伝子のシークエンスを行い、サイズが短縮するような変異の有無を検討する。 二つのアリル(対立遺伝子)のうち両者が、どの組織でも翻訳されるのか、念のため同一個体の複数の組織からDNA,RNA,蛋白質を抽出して、検討したい。
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Causes of Carryover |
当初の目的では、アトピー性皮膚炎の他に、水疱症、角化症、皮脂欠乏性皮膚炎、乾癬患者と皮膚腫瘍患者の患者DNAを含める予定であったが、当初の計画を変更した為、それらの患者のDNAを集める経費として計上していた分が使用されていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後上記患者サンプルを集める際に必要となる経費であり、次年度で使用する予定である。
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