2015 Fiscal Year Research-status Report
落葉状天疱瘡モノクローナル抗体による棘融解性水疱形成機序の解明
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15K09749
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 健 東邦大学, 医学部, 准教授 (50296670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石河 晃 東邦大学, 医学部, 教授 (10202988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天疱瘡 / 自己抗体 / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
落葉状天疱瘡(PF)血清中の抗デスモグレイン1(Dsg1)抗体は多様性がある。研究代表者が患者リンパ球から単離した抗Dsg1モノクローナル抗体の解析により、水疱形成を誘導する病原性抗Dsg1抗体と水疱形成を引き起こさない非病原性抗Dsg1抗体から構成されていることが判明している。しかしながら、個々の抗Dsg1抗体がポリクローナルな状況下で水疱形成にどのような役割を果たしているのかは不明である。本研究では、モノクローナル抗体と複数のモノクローナル抗体の混合物による水疱形成機序の相違点に着目し、ヒト皮膚器官培養系を用いた病的活性測定法により、抗Dsg1モノクローナル抗体単独の場合と複数混合した場合で水疱形成の有無とDsg1分子の分布を観察した。 個々の抗Dsg1モノクローナル抗体を用いた場合、病原性抗体でのみ水疱形成が観察されたが、Dsg1分子の分布に病原性抗体と非病原性抗体とでは差は無かった。一方、病原性と非病原性抗Dsg1 モノクローナル抗体の混合によりDsg1分子の凝集が誘導された。さらに、他のデスモゾーム構成蛋白のデスモコリン1、プラコグロビン分子の分布にも変化がみられた。また、このDsg1の凝集は、二価のIgG抗体の架橋により生じていること、Dsg1の分子のtrans-interactionの阻害と、非病原性抗体による架橋が必要であることが分かった。培養細胞系の病的活性測定法で検討すると、混合した場合のほうが病原性抗体単独時よりも細胞間接着が減弱していた。このことから、抗体がポリクローナルな状態であることも水疱形成誘導能に関与していることが明らかになった。 この研究成果をEuropean Society of Dermatological Researchにおいて発表した。 今後は、ポリクローナル抗体による凝集反応を阻害し、更に病的活性を抑制する因子を探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
器官培養ヒト皮膚を用いて、モノクローナル抗体単独、複数のモノクローナル抗体の混合物によるDsg1分子の局在の差異を観察することができた。また、他のデスモゾーム関連分子の局在の差異も観察することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞培養系(in vitro)でも同様のことが観察されるかを検討する予定である。さらに、複数のモノクローナル抗体の混合物によるDsg1の凝集を抑制する因子を探索する予定ある。チロシンキナーゼ阻害剤、p38MAPK阻害剤などを用いて細胞内シグナル伝達の関与がないか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画は概ね順調であるが、培養細胞の感染により、培養細胞系の実験で計画が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞系の培養が順調に進めば、試薬を購入し、計画通り研究を進める予定である。
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