2016 Fiscal Year Research-status Report
落葉状天疱瘡モノクローナル抗体による棘融解性水疱形成機序の解明
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15K09749
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 健 東邦大学, 医学部, 准教授 (50296670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石河 晃 東邦大学, 医学部, 教授 (10202988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
落葉状天疱瘡(PF)血清中の抗デスモグレイン1(Dsg1)抗体は多様性がある。水疱形成を誘導する病原性抗Dsg1抗体と水疱形成を引き起こさない非病原性抗Dsg1抗体から構成されていることが判明している。しかしながら、個々の抗Dsg1抗体がポリクローナルな状況下で水疱形成にどのような役割を果たしているのかは不明である。本研究では、モノクローナル抗体と複数のモノクローナル抗体の混合物による水疱形成機序の相違点に着目し棘融解性水疱形成機序を解析している。昨年度まで、ヒト皮膚器官培養系を用いた病的活性測定法により、抗Dsg1モノクローナル抗体単独と比較した場合、複数混合による抗体により、水疱形成能が増強していることが明らかになり、さらに、表皮細胞内のDsg1分子の凝集像と相関していることが明らかになった。 本年度は、複数のモノクローナル抗体投与によるDsg1分子の凝集反応がどのようなメカニズムで生じているのかを検討した。特に、尋常性天疱瘡において水疱形成に関与していると考えられているp38MAPKに注目して検討した。 p38MAPK阻害剤を前投与することにより複数のモノクローナル抗体の投与によるDsg1の凝集反応は抑制された。しかし、p38MAPK阻害剤により水疱形成は抑制されなかった。ポリクローナル抗Dsg1抗体はp38MAPK依存性にDsg1 clusteringを介して表皮細胞接着阻害に関与するものの、患者皮膚における水疱形成には病原性抗体によるDsg1分子の直接阻害が本質的に重要であると考えられた。 これらの研究成果は、European Society of Dermatological Researchのサテライトミーティングにおいて発表した。さらにJournal of Dermatological Scienceに投稿し受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
器官培養ヒト皮膚を用いて、モノクローナル抗体単独、複数のモノクローナル抗体の混合物によるDsg1分子の局在の差異を観察することができた。また、p38MAPK依存性であることも解明できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、患者の血清においてもDsg1分子の誘導が生じるかを検討する。またDsg1の凝集反応と炎症との相関があるかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画は概ね順調であるが、培養細胞系の実験で計画が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞系の培養が順調にすすめば、試薬を購入し、計画通り研究を進める予定である。
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