2015 Fiscal Year Research-status Report
乾癬患者におけるTNFαアンタゴニスト二次無効のメカニズム解析
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15K09754
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 裕 東北大学, 大学病院, 助教 (90375056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 節也 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80159269)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 乾癬 / TNF-a阻害薬 / ルシフェラーぜアッセイ / インターロイキン-8 / 薬物動態 / THP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗TNF-α抗体製剤(ATA)は関節性リウマチ、乾癬などの多くの免疫の関与する慢性炎症性疾患に対する治療の主流となっている。しかし、10年を超える臨床現場での使用の中でいくつかの問題点が明らかになってきた。1)反応性の個人差。2)効果の2次無効。3)全身性の感染症や投与時反応などの副作用。4)治療費用である。THP-1細胞を母細胞としたIL-8レポーター細胞であるTHP-G8細胞はTNF-αに反応し濃度依存性にIL-8レポーター活性を上昇させた。またその上昇はATAの前処理によりATAの濃度依存性に抑制された。THP-G8細胞を用いATAで治療中の乾癬患者の血清中の抗TNF-α中和活性を定量的に評価することを目的に以下の試験をおこなった。 方法:THP-G8細胞を段階希釈した健常人または患者の血清の前処理後に10 ng/mLのヒトリコンビナントTNF-αを加え、6時間後ルシフェラーゼ活性を測定した。以下の式により血清中の抗TNF-α中和活性の指標となる%suppressionを計算した。% suppression = (1-血清存在下のTNF-α添加後のIL-8レポーター活性 / 血清非存在下のTNF-α添加後のIL-8レポーター活性) x 100。乾癬患者血清の%suppressionとATA療法によるPsoriasis Area and Severity Index (PASI)スコアの改善率との相関を検討した。 結果:健常者の血清はTNF-αに誘導されたIL-8レポーター活性に影響を与えなかった。1または2週間前にATAを投与された患者の血清はTNF-αに誘導されたIL-8レポーター活性を有意に抑制した。ATA投与1週間後に採血された血清は投与2週間後に採血された血清と比べより強くIL-8レポーター活性を抑制した。東北大学病院皮膚科においてATAで治療されている乾癬患者において、PASIスコアの改善率と%suppressionの間に有意な相関が認められた。このことからTHP-G8細胞が個々の患者におけるATA療法の治療効果と相関する血清中の抗TNF-α中和活性を評価する有用な試験系であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度では、THP-G8 細胞を用いて測定した患者血清のSLO-LA 抑制能、従来のELISA 法による血中TNF-αアンタゴニスト濃度、血中抗TNF-αアンタゴニスト抗体濃度を測定する。同時に患者の臨床症状を観察し、TNF-α アンタゴニストが二次無効になった症例とTNF-α アンタゴニストが奏功している症例との間、または同一患者でTNF-α アンタゴニストが奏功していた期間と二次無効の期間での測定値を比較することにより二次無効のメカニズムを明らかにすることを計画していた。平成27年度、東北大学病院皮膚科において抗TNF-α抗体製剤で治療されている乾癬患者についてTHP-G8細胞を用いた血清中の抗TNF-α中和活性の測定し、その中和活性と抗TNF-α抗体製剤療法の治療効果の相関が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き当科乾癬外来通院中の抗TNF-α抗体製剤を投与された患者について採血を行い、THP-G8 細胞を用いたIL-8レポーター活性抑制能の測定を継続する。加えて血中TNF-α アンタゴニスト濃度の測定、血中抗TNF-α アンタゴニスト抗体濃度の測定を行い、乾癬患者におけるTNFαアンタゴニスト二次無効のメカニズム解析を目指す。
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