2016 Fiscal Year Research-status Report
フィラグリン遺伝子変異が角化細胞に与える影響についてヒトiPS細胞を利用する試み
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15K09759
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井川 健 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (00372441)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 角化細胞 / 人工ヌクレアーゼ / フィラグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度構築したCRISPR-Cas9のシステムを用いて、ヒトiPS細胞において、フィラグリン遺伝子にランダムな変異(片アレル)が挿入されたものをいくつか用意した。変異の入ったヒトiPS細胞を自ら確立したプロトコール(Igawa K, SCTM 2014)にて表皮角化細胞に分化させた。 ところが、分化がうまくすすまず、いろいろな変更を加え、ほかのグループの方法に変更、あるいは他グループと話し合いをもつも、分化がうまくいかないまま経過した。予定では完全に表皮角化細胞に分化させ、その細胞をもってin vitroにおける3次元培養にもっていき、バリア機能、皮膚機能についての検討を行う予定であったが、急きょ方針を変換した。すなわち、不完全ながら、角化細胞方向へ分化したと思われる時点(そこまでは分化は進行)でサンプルを採取(mRNA)。ケラチン遺伝子、分化マーカーなどについて発現をチェックしたところ、表皮角化細胞においてみられるK5/K14遺伝子はしっかりと発現がみられ、カルシウム濃度上昇による分化しげきによって、分化マーカーであるフィラグリンやインボルクリンも発現することが確認された。 このシステムをもって、細胞のレベルにおける検討を行うことが可能となった。当初の予定よりは手前の状況までの検討となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
確立された、と考えていた、iPS細胞から角化細胞への分化プロトコールがうまく動かず、全面的に見直しが必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果で述べたように、当初計画していた、いわゆる「完全な」表皮角化細胞へ分化させたものを使った研究を行うことが難しい状態である。しかしながら、表皮角化細胞の方向へ分化した細胞(おそらくprogenitorの様な細胞)を得るプロトコールは完成できたため、
①このプロトコールを用いて、遺伝子変異(フィラグリン)+/-のiPS細胞を分化させ、得られた角化細胞様細胞の遺伝子発現パターンを網羅的に確認する。 ②これらの細胞をサイトカイン等(Th1やTh2サイトカイン、あるいは炎症シグナル)で刺激をし、そこからRNAやタンパク等のサンプルを採取し、①と同様に、遺伝子発現パターンの網羅的検索、タンパク発現の検討を行う。
という方向で進めていきたい。
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