2016 Fiscal Year Research-status Report
抗CX3CL1中和抗体を用いた全身性強皮症の治療法の開発
Project/Area Number |
15K09763
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長谷川 稔 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (50283130)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強皮症 / 線維化 / ケモカイン / 新規治療 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に、抗マウスCX3CL1モノクローナル抗体の投与が、強皮症のモデルのひとつであるブレオマイシン誘導性強皮症モデルの皮膚硬化の進行を抑制することを明らかにした。その際に、CX3CL1の受容体であるCX3CR1を発現したマクロファージの浸潤が顕著に抑制されることがわかった。本年度は、皮膚に浸潤した細胞を分離して、フローサイトメトリーで解析したところ、Ly6Chiの炎症性マクロファージや線維化誘導に作用するM2マクロファージがブレオマイシンの注射によって増加するが、抗CX3CL1抗体はこれを有意に抑制することが明らかとなった。このことから、抗CX3CL1抗体は炎症や線維化を誘導するマクロファージの皮膚浸潤に作用して、ブレオマイシン誘導性の皮膚の炎症や線維化を抑制することが示唆された。また、別の強皮症モデルとして、新生仔野生型マウスにTGF-betaを3日間、引き続いてCTGFを4日間皮下注射するモデルでも、抗CX3CL1抗体の効果を検証した。モデルの評価機関が短いため、線維化誘導と同時に抗CX3CL1抗体を投与した場合には有意な効果がみられなかったが、線維化誘導前より抗体治療を行うと、皮膚の線維化が有意に抑制された。これらの2つの強皮症モデルの結果から、抗CX3CL1モノクローナル抗体治療が、強皮症患者の治療に有用な可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブレオマイシン誘導性強皮症モデル、細胞成長因子誘導性強皮症モデルという2つの強皮症モデルにおいて、抗CX3CL1抗体の治療効果を明らかにできており、その機序もわかってきている。また、CX3CR1欠損マウスを用いたブレオマイシン誘導性強皮症モデルの解析も進んでいる。GVHDモデルについては着手できていないが、それ以外は予定通りであり、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ順調に進んでおり、このペースで研究を継続する。次年度は、皮膚硬化型GVHDモデルに対する抗CX3CL1抗体治療の効果について検討を行う。
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