2015 Fiscal Year Research-status Report
全身性強皮症を含む皮膚線維化疾患におけるlong non-coding RNA
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15K09771
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
神人 正寿 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (60401048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膠原病 / 全身性強皮症 / rna |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、皮膚線維化疾患や膠原病の皮膚組織からRNAを抽出し、全身性強皮症の病態に関係する可能性の高い3種類のlncRNAを中心にreal-time PCRやin situ hybridizationで病変部での発現量・局在を調べた。その結果、TSIXは強皮症患者の病変部皮膚で他の疾患や正常皮膚よりも発現が増加しており、さらにその局在は皮膚線維芽細胞であることを突き止めることができた。その他のlncRNA(XISTやHAR1A)については、強皮症とそれ以外のサンプルで有意な差を認めなかった。 次に、siRNAやexpression vectorで培養細胞における機能解析を行った。TSIX siRNAを培養皮膚線維芽細胞に強発現すると、collagenのmRNAあるいは蛋白の発現が減少することが分かった。そのメカニズムとして、TSIX siRNAによりcollagen mRNAのstabilityが有意に減少していた。つまり、TSIXそのものは皮膚線維芽細胞においてcollagen mRNAのstabilityを維持することでコラーゲン発現をコントロールするが、強皮症皮膚線維芽細胞ではTSIXが増加することでコラーゲン発現が恒常的に増加し、ひいては組織の線維化が誘導されると考えられた。以上より、本研究によりTSIXは本症の病態に強く関わる因子であるとともに、新しい治療のターゲットになりうることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに平成27年度の研究計画については完了し、平成28年度以降に計画していた血清中lncRNAの解析に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、同定された強皮症の疾患特異的・機能的lncRNAの血清中濃度の疾患マーカーとしての有用性を評価するため、血清からRNAを抽出し、特異的lncRNAが実際に血清中にも発現しているかを少数のサンプルを用いてreal-time PCRで確認している。今後、血清中での発現が確認されたlncRNAについては多数の患者群で血清lncRNA濃度を測定し、正常対照群や他疾患との比較を行い診断マーカーとしての評価をする。さらに患者群において臨床症状との相関を調べて病勢マーカーとしての評価も行う。具体的には、例えば全身性強皮症においてはスキンスコアや皮膚潰瘍および肺病変・腎病変の有無との相関を調べる。
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