2015 Fiscal Year Research-status Report
核成分に対する免疫寛容の破綻からSLE発症に至る機序の解明
Project/Area Number |
15K09779
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
宮川 史 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00346024)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 秀夫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60252681)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | SLE / 抗核抗体 / I型IFN / NF-kB / IRF7 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリスタンを野生型マウスに投与すると、約10ヶ月後に糸球体腎炎、自己抗体の産生等がみられ、ヒトのSLEに類似した症状を呈する。一方、IRF7KOマウスにプリスタンを投与すると、野生型と同様に糸球体腎炎は認められるが、血清中の自己抗体は検出されず、自己抗体の産生と糸球体腎炎の発症の間に解離がみられた。すなわちIRF7KOマウスにおいても、プリスタン投与10ヶ月後には、尿蛋白が検出されるとともに、蛍光抗体直接法にて腎糸球体にIgGの沈着が認められたが、ELISA法にて血清中の抗核抗体、抗dsDNA抗体、抗ssDNA抗体、抗Sm抗体、抗RNP抗体は検出できなかった。またHep-2細胞を用いた蛍光抗体間接法においても、IRF7KOマウスの血清中には、抗細胞質抗体を含めたいかなる抗体も検出できなかったことより、腎におけるIgGの沈着は炎症後に二次的に生じている可能性が考えられた。プリスタン投与2週間後の脾臓を用いてreal-time PCRを施行すると、野生型マウスではIFN-stimulated genesの発現の上昇は認められるが、IRF7KOマウスでは認められなかった。このことよりIRF7を介するI型IFN pathwayが自己抗体の産生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。ところがNF-κB target genesの発現は、両系統のマウスで同程度に認められたことより、inflammationに中心的な役割を果たすNF-κB pathwayの活性化は、IFN pathwayとは無関係に起こっており、臓器障害に関与している可能性が示唆された。そこでIRF7KOマウスにNF-kB阻害剤を投与した上でプリスタンを投与したところ、尿蛋白は著明に減少し病理組織学所見上も腎臓病変に改善がみられたことより、NF-kB pathwayが糸球体腎炎の発症に関係していることを証明できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IRF7KOマウスを用いた実験計画についてはほぼ完成し論文投稿中である。IRF8KOマウスを用いた実験計画についてはマウスの繁殖が困難なためやや遅れている。総合的に判断するとおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究の方向としては、IRF8がSLEの臨床症状に及ぼす影響についての検討を主に行う予定である。具体的な方法としては、野生型マウスとIRF8KOマウスに、プリスタンあるいは陰性コントロールとしてPBSを各0.5ml単回投与し、約10ヶ月の経過の後に、マウスより尿検査、静脈採血、腎臓の採取を行う。尿蛋白の量は、採取した尿を用いて尿試験紙により定量し、腎障害の有無を両系統のマウスで比較する。静脈血からは遠心により血清を分離し、血清中の抗核抗体の有無をHep-2細胞を用いた蛍光抗体間接法で確認する。さらにELISA法を用いて、抗核抗体および、抗dsDNA, ssDNA, Sm, RNP抗体等の抗核抗体の種類を検討する。採取した腎臓からは凍結切片を作成し、蛍光抗体直接法により腎糸球体への免疫グロブリンの沈着の程度をスコア化することにより定量する。また、プリスタン投与後2週間経過した野生型マウスとIRF8KOマウスより、静脈採血、腹水の採取、脾臓の採取を行う。静脈血より分離した血清を用いて、ELISA法によりI型IFN (IFN-α、IFN-β)およびTNF-α、IL-6の測定を行う。脾臓よりRNAの抽出を行い、real-time PCRによりIFN-inducible genesの測定を行い、両系統のマウスで比較する。腹水からは遠心分離によりperitoneal exudate cellを回収する。回収したperitoneal exudate cellは抗active-caspase 3抗体、抗Annexin V抗体/PIで染色し、flow cytometerによりアポトーシスの有無を検出する。
|
Research Products
(10 results)
-
[Journal Article] Differential expression profile of Th1/Th2-associated chemokines characterizes Stevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis (SJS/TEN) and drug-induced hypersensitivity syndrome /drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms (DIHS/DRESS) as distinct entities.2015
Author(s)
Miyagawa F, Hasegawa A, Imoto K, Ogawa K, Kobayashi N, Ito K, Fujita H, Aihara M, Watanabe H, Sueki H, Tohyama M, Asada H
-
Journal Title
Eur J Dermatol
Volume: 25
Pages: 87-89
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Journal Article] Efficacy of additional i.v. immunoglobulin to steroid therapy in Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis.2015
Author(s)
Aihara M, Kano Y, Fujita H, Kambara T, Matsukura S, Katayama I, Azukizawa H, Miyachi Y, Endo Y, Asada H, Miyagawa F, Morita E, Kaneko S, Abe R, Ochiai T, Sueki H, Watanabe H, Nagao K, Aoyama Y, Sayama K, Hashimoto K, Shiohara T; SJS/TEN Study Group.
-
Journal Title
J Dermatol
Volume: 42
Pages: 768-777
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-