2015 Fiscal Year Research-status Report
CHILD症候群の皮疹形成メカニズムに基づいたケブネル現象の解析と他疾患への応用
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15K09782
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅垣 知子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80397629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亜紀子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50455573)
久保 亮治 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70335256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CHILD症候群 / コレステロール代謝 / ケブネル現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性コレステロール生合成経路の異常症であるCHILD症候群は、NSDHL酵素活性の低下によって片側性に紅斑、角化、落屑を伴う魚鱗癬様もしくは乾癬様の皮疹を生じる。片側性に乾癬様皮疹を認める患者の皮疹部および無疹部の皮膚生検を施行し、皮膚で発現しているNSDHLのmRNAをシークエンスしたところ、皮疹部と無疹部いずれも変異したアレルの発現が確認された。したがって、遺伝子変異を同側皮疹部と無疹部ともに確認できたことから、CHILD症候群の皮疹部では、遺伝子変異以外の要因によってコレステロール代謝異常を惹起している可能性が示唆された。NSDHLの上流でコレステロール代謝酵素に関わるCYP51の免疫染色を行ったところ、無疹部と比較して皮疹部表皮有棘層上層において発現の上昇が確認され、CYP51の過剰発現が異常なコレステロール中間代謝物の蓄積に関与をし、皮膚症状を引き起こしている可能性が考えられた。そこで、CYP51発現量増加とNSDHL酵素活性低下がCHILD症候群の皮膚症状のメカニズムに関与しているかを調べるため、HaCaT細胞にCYP51強制発現ベクターをエレクトロポレーションでトランスフェクションを行い、CYP51を強発現させた細胞株を作成し、コレステロール除去培地で培養し、細胞増殖に与える影響をMTSアッセイで測定したが、コントロールと比較して有意差は得られなかった。現在はGC-MSでコレステロール代謝物の測定を行うための条件設定を行っている。今後は、これらの実験系でNSDHLの阻害薬である17-αhydroxyprogesteroneを培地に添加することで、中間代謝物であるFF-MASやT-MASが蓄積するかどうか、GC-MSを用いて検討を加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HaCaT細胞にCYP51を強発現させた細胞株の作成が予定より時間がかかったが、現在は完成することができ、GC-MSの実験条件も設定できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HaCaT細胞にCYP51を強発現させた細胞株を用いて、NSDHLの阻害薬である17-αhydroxyprogesteroneを培地に添加することで、中間代謝物であるFF-MASやT-MASが蓄積するかどうか、GC-MSを用いて検討を加える。
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Causes of Carryover |
HaCaT細胞においてYP51を強発現させた細胞株を作成に時間を要したため、GC-MSでのコレステロール測定が予定より遅れており、次年度の使用額が多くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
GC-MSでのコレステロール測定を行う。
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