2015 Fiscal Year Research-status Report
核内抗原自己抗体による膠原病皮膚病変の発症機序の解析
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15K09790
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
樋口 哲也 東邦大学, 医学部, 准教授 (00334425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 健 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (00372441)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モデルマウス / 膠原病 / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD40リガンドトランスジェニックマウスを用いたこれまでの解析から、Vk38Cは抗Sm/RNP抗体など全身性エリテマトーデスと関わりのあるVL鎖であると考えられたため、産生するすべての免疫グロブリンのVL鎖がVk38cであるトランスジェニックマウス(Vk38Cマウス)を作成したところ、一部のマウスで皮膚に炎症が起こり、脱毛がおこることが確認された。このことから核内自己抗原に対する自己抗体が膠原病などの皮膚病変の発症に関与すると考えられた。H27年度はマウスの数を増やし、conventional環境下とspecific pathogen free (SPF)環境下で飼育し皮膚病変の観察と病理組織学的検討を行った。皮膚病変としてはconventionalな環境下で飼育すると、次第に皮膚の炎症反応が出現してくるマウスが増えてくることが観察された。その割合はSPF環境下で同時に飼育しているマウスと比べても高かった。マウスの免疫グロブリンを測定したところ、総IgE量がconventional環境下のマウスの方がSPF環境下のマウスよりも高い傾向が見られた。炎症を起こしているマウスの病理組織像では、非特異的な炎症所見であり、リンパ球の浸潤が表皮内にも認められ、湿疹反応に近い所見も認められた。Vk38cマウスの皮膚病変がIgE産生を伴うTh2型のアレルギー性反応の皮膚病変も発症することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの飼育環境の違いにより皮膚病変の発症頻度の違いが観察できたが、皮膚病変は膠原病に類似した皮膚病変だけではなく、アトピー性皮膚炎に近い病態である可能性も考えられた。期待していたphenotypeだけではない病態であったが、非常に興味深い所見であるので新たな研究方法を追加する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
Vk38cマウスが膠原病皮膚病変のモデルマウスの可能性だけでなく、アトピー性皮膚炎のモデルマウスである可能性も示唆されるため、アレルギー性炎症の誘発実験なども追加してこの皮膚病変の解析について検討を重ねていく。
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Causes of Carryover |
マウスの皮膚病変の発症に時間がかかったためマウスの飼育維持が主な費用であったが共同研究先でマウスの維持が可能であったことと、予定してた皮膚病変と違う傾向の結果であったため、試薬などの購入を見合わせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた次年度の研究計画の支出にくわえ、既存のアトピー性皮膚炎モデルマウスとの比較のためのマウス購入や、アレルギー炎症惹起反応などの試薬の購入の追加に当てる。
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