2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒアルロン酸による皮膚バリア調節機構の解明とアトピー性皮膚炎の新規治療法の開発
Project/Area Number |
15K09795
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 潤 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30338131)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 自然免疫 / 細胞外マトリックス / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚に多量に存在する主な細胞外マトリックスであるヒアルロン酸は皮膚の自然免疫において重要な役割を担っていることが知られている。我々はこれまでヒアルロン酸の分解が自然免疫機構を介して惹起する炎症反応について研究してきた。本研究では、ヒアルロン酸分解または合成のアトピー性皮膚炎における役割を解明し、さらに新たなアトピー性皮膚炎の治療法として臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。
皮膚バリア機能の調整機構を明らかにするため、オリゴ型を含めた様々なサイズのヒアルロン酸で表皮角化細胞を処理したところ、表皮角化細胞ではヒアルロン酸の分解により皮膚バリア機能に重要な複数の分子の発現が変化することを示唆するデータを in vitro で得た。さらにこのヒアルロン酸による皮膚バリア機能の調節に関する現象につき、マウスを用いてin vivoで同様の効果があるか研究を進めて検証している。さらに本年はハプテン反復塗布によるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いてヒアルロン酸による皮膚バリア機能への影響を調べる予定である。また、各Toll-like receptor (TLR)のリガンドでヒト表皮角化細胞やマウス肺胞由来マクロファージを刺激したところ、細胞レベルでのヒアルロン酸合成酵素、分解酵素の発現促進や抑制にかかわるTLRリガンドを見出した。今後は、マウスを用いてin vivoの系で、皮膚に於ける自然免疫によるヒアルロン酸産生や分解調節機構の解明のため研究を進めてゆく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮角化細胞等でヒアルロン酸の分解と皮膚バリア機能に重要な複数の分子の発現が関連することを in vitro で確認できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒアルロン酸投与によるアトピー性皮膚炎モデルへの影響を検討する。 In vitroの系で様々なサイズへのヒアルロン酸分解により皮膚のバリア機能が変化することが確認されたため、アトピー性皮膚炎モデルへのヒアルロン酸投与の効果を検討する。 特定のTLRリガンドでヒアルロン酸の合成または分解が促進されていたため、そのTLRリガンドを外部から投与することで、皮膚バリア機能が調節されるかどうかTEWLを使用しマウスの皮膚で研究し、さらにアトピー性皮膚炎モデルマウスへ投与しその効果を検討する。
|
Causes of Carryover |
作成したヒアルロニダーゼ1過剰発現トランスジェニックマウスの費用支払い時期が次年度となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
作成したヒアルロニダーゼ1過剰発現トランスジェニックマウスの費用及び維持費として使用する予定。
|