2016 Fiscal Year Research-status Report
一卵性双生児統合失調症不一致例及び健常一致例の遺伝子発現解析
Project/Area Number |
15K09800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 千尋 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90342766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 一卵性双生児不一致例 / 網羅的mRNA発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は生物学的な病態の解明が急務である。申請者らはかつて統合失調症一卵性双生児不一致例リンパ芽球を用いた研究から、分子生物学的差異が存在する可能性を示唆した。もし違いが存在すれば、疾患に関わる有力な候補を示しうると考えられるが、そもそも不一致例内に分子生物学的差異が存在するのかも明瞭ではない。本研究では、新たに見出した一卵性双生児統合失調症不一致例3組及び健常双生児例3組のリンパ芽球の網羅的mRNA発現解析により、不一致例間に発現の差異はあるのか、を検討した上で、候補遺伝子の同定を試みるものである。不一致例3組および健常一致例3組を対象とし、リンパ球をEBウイルスで芽球化した細胞を実験に供した。各双生児内において、統計学的に変動している遺伝子を抽出するため、一組あたり3回の独立した培養を、双生児ペア一回あたりの条件を可能な限りそろえて行った。リンパ芽球よりTotal RNAを抽出し、エクソンアレイ(SurePrint G3 Human Exonマイクロアレイキット2x400K)による実験を行った。Total RNA 50ngからCy3標識されたターゲットRNAを作成し断片化、ハイブリダイゼーションを行い、DNAマイクロアレイスキャナ(Agilent DNA Microarray Scanner (G2565CA))を用いて画像の取得を行い、その画像から、Feature Extractionを用いて、QC Report、データを取得、agilent社のGeneSpringを用いて解析を行っている。なお、アレイには一度に2サンプルのハイブリダイゼーションを行うことができるが、位置の影響を除外するため、同一サンプルに対し、場所を交換して2回行っており、データの階層線形モデルの枠組みで双生児間におけるmRNA発現量の違いについての検定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症一卵性双生児不一致例3組および健常双生児例3組のリンパ芽球由来mRNAについて、同一サンプルのハイブリダイゼーション位置を交換してのデータも含め、mRNAデータ取得を終了している。また、並行して双生児不一致例解析より得られた候補遺伝子についての検討を行うための非血縁の患者、健常者由来のリンパ芽球の培養も開始しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、取得したmRNA発現量データの解析をすすめ、一卵性双生児統合失調症不一致例リンパ芽球においてmRNA発現の差異が存在するのか、存在する場合の候補遺伝子を抽出を行い、非血縁の患者、健常者由来のリンパ芽球での検討も含め、統合失調症病態への意義を検討していく。
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Causes of Carryover |
一卵性双生児統合失調症不一致例の解析は比較的順調に進行しているものの、非血縁の患者、健常者由来のリンパ芽球の培養は、サンプルの選択、培養を慎重に行う必要があり、その後の実験に供するまでにはいたらず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き一卵性双生児統合失調症不一致例内にmRNA発現の差異があるかの検証、及び候補遺伝子の抽出を行い、見出された候補遺伝子の統合失調症病態への意義についての検討を、翌年度の助成金とあわせてすすめていく。
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