2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者前頭葉ゲノムにおけるLINE-1挿入部位の決定
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15K09801
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
文東 美紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00597221)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レトロトランスポゾン / 体細胞変異 / 統合失調症 / 死後脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ヒト死後脳由来の多種細胞核の分画技術の確立 健常者ヒト死後脳(前頭葉)を用い、できるだけ多種の細胞種由来核の分画を行うことを目標とした。凍結脳組織片から生化学的に粗細胞核画分を調整したのち、細胞種特異的に細胞核に発現しているタンパク質に対する抗体を用いて染色を行い、セルソーターを用いて分画を試みた。その結果、これまで分画に成功していたニューロン、オリゴデンドロサイト由来の細胞核画分に加え、新たに活性型マイクログリア由来細胞核の分画に成功した。また単離した100万個程度の細胞核から1 ugほどのDNAを抽出することができている。 (2)LINE-1新規挿入部位の決定 健常者末梢血DNAを使用して、ヒトに特異的なLINE-1配列 (L1Hs)の隣接ゲノム領域を濃縮するL1Hs-PCR法の条件検討を行った。従来のdegenerateプライマーを組み合わせたPCR法では1600 ngと比較的多量のDNAが必要であったが、LINE-1特異的プライマーからプライマー伸長を行い、アダプターをライゲーションしたのちPCR増幅を行う方法に改変したところ、50 ngと比較的少量のDNAから実験を開始することが可能になった。得られたPCR産物は次世代シーケンサーMiSeqにより解析を行った。この方法を用いて健常者抹消血DNAのLINE-1挿入を網羅的に検討したところ、ヒトリファレンスゲノム配列にあるLINE-1のうち82%を検出することができた。またリファレンス上にないLINE-1新規挿入も12ヶ所同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト死後脳組織からの多細胞種由来の細胞核単離技術の確立や、単離細胞核からのDNA抽出の検討が終了している。またLINE-1挿入ゲノム領域を濃縮するためのL1Hs-PCR法の確立もほぼ終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで確立した技術を使用して、健常者・統合失調症患者前頭葉組織(n=3ずつ)からニューロン・オリゴデンドロサイト・活性型マイクログリア由来の細胞核を分画する。それぞれの画分のDNAからL1Hs-PCR法によりLINE-1挿入ゲノム部位を濃縮し、得られた産物を次世代シーケンサーで解析することによって、新規LINE-1挿入位置の決定を行う。疾患サンプル特異的に挿入が起こっているゲノム領域を同定し、病因への関連を検証する。
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Causes of Carryover |
H28年度は前年度までに購入した試薬などで実験を継続することが可能であったため、物品費の支出が予定よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は、次世代シーケンサーを使用した解析が主となるが、当初の予定よりも解析のサンプル数が増えており、申請よりも物品費が多く必要となるため、そちらで使用する予定である。
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Research Products
(5 results)