2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを用いた統合失調症多発家系の遺伝子解析と病因・病態解明
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15K09804
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
Aleksic Branko 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (60547511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床精神分子遺伝学 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
サンプル収集 名古屋大学およびその関連病院において、1家系内に少なくとも2人以上の統合打失調症発症者がいる家系で、それら発症者のサンプリングが可能であるという条件を満たす家系を対象としサンプル収集を行った。結果として、これまでに保有しているサンプル及び新規にてサンプリングを行った家系を含めて合計で 14家系のゲノムサンプルの収集ができた。 名古屋大学環境医学研究所の荻研究室の協力を経て、次世代シーケンサーを用いたシーケンス Illumina社HiSeq2500をプラットフォームとし、Agilent社SureSelect Human All Exon V5を使用して全エクソン領域にわたるシーケンスを行った。H27年度中に対象の14家系のうち12家系のエキソームシーケンスが完了した.残りの2家系についてもH28年度早期に解析を行う予定としている. 解析により出力されたFastQファイルの解析プロトコルを作成し、変異のマッピングや頻度などのアノテーションの付加を行った.これらをもとにRead depthによるフィルタリング ・dbSNPデータベース上のSingle Nucleotide Polymorphism (以下SNP)の除外 ・遺伝子変異の頻度による除外(1%以下の頻度のものに限定) ・In silico解析による除外等のフィルタリングを行い、発症者が共通して保有し、発症脆弱性に関与する可能性がある変異の絞り込みにむけての方法を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度に計画していたサンプル収集は、当初の目的に加え4家系の収集ができ、かつエキソーム解析もほぼ完了しているため、現在のところ計画通りに研究は進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
データの検証および妥当性の確認 WESにより同定されたSNVは、False positiveを含む可能性がある。そのため、これらの変異を別の手法(Sanger法, Ion Torrentなど)により確認する。ここで再確認できた変異をTrue positiveとして採用する。またその結果から、十分な妥当性が得られるRead Depthを検証する。家系解析 このステップでは、家系ごとに見つかったSNVの解析を行う。家系内で統合失調症患者がもつSNVから健常患者家族がもつSNVを除外することで、統合失調症患者のみがもつSNVへと絞り込みを行う。これらのSNVについて全ての家系を合わせ、統合失調症の発症脆弱性に強く関連し得る遺伝子変異を蓄積し、候補遺伝子のリストを作成する。 また、統合失調症の浸透率を考慮すると、健常患者家族もまた統合失調症の発症脆弱性に関与する遺伝子変異を持つと考えられる。こうした遺伝子変異もスクリーニングするため1000genome projectにおける日本人の一般健常人のデータを利用する。一般健常人にみられるSNVを、統合失調症多発家系全体が保有するSNVから除外することで、発症脆弱性にたいして弱い効果を持つと考えられる候補遺伝子もリストアップする。このように本研究デザインでは、in silico解析を使用しない発症脆弱性関与の程度の検討も可能であると考えられる。
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