2016 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いた新規前頭側頭葉変性症モデルマウスの開発
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15K09850
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
細川 雅人 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主席研究員 (00435116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / モデルマウス / 認知症 / TDP-43 / C9orf72 |
Outline of Annual Research Achievements |
前頭側頭葉変性症 (FTLD)に関しては、原因蛋白としてのTDP-43とFUS、および原因遺伝子としてのGRNとC9ORF72の発見によりその研究は近年飛躍的に進歩し、細胞モデルおよび動物モデルの作製も進んでいる。しかし、細胞モデルではヒトの病理と良く似た像が再現されているが、未だにヒトの病理像を十分に反映した動物モデルは作製できていない。また、FTLDや筋萎縮性側索硬化症 (ALS)を再現しようと試みたTDP-43トランスジェニックマウスに関する報告は複数あるが、発生初期から神経系の異常が観察される系統はあるものの、疾患と同様の病変が再現されたものはない。そこでFTLDの新規モデルマウスをゲノム編集技術を用いて作製し、疾患と同様の病変を再現することを目的とし、実験をおこなった。 TDP-43ノックインマウスに関しては、マウスTDP-43をヒト型TDP-43に置き換えたノックインマウスを作製した。TDP-43のcDNAをゲノム編集によりノックインした系統、およびgenomic DNAをノックインした系統、それぞれ複数のラインが得られた。これらのマウスは現在繁殖中である。 C9orf72ノックインマウスに関してはヒトC9ORF72遺伝子と相同なマウス3110043O21Rik遺伝子に(GGGGCC)nのヘキサヌクレオチドリピートを挿入し、C9ORF72ノックインマウスを作製した。本実験では、Donor DNA (GGGGCC)n, crRNA, tracrRNAおよびCas9を導入した卵から個体発生を確認した。1回目の作製では93匹のマウスが生まれたが、目的遺伝子陽性マウスは0匹であった。引き続き2回目の作製をおこない、102匹のマウスが得られたところである。現在は目的遺伝子がノックインされているかについてスクリーニングをおこなっているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TDP-43ノックイン (KI)マウスはcDNAをKIしたもの、genomic DNAをKIしたものから複数のラインが生まれており、遺伝子の挿入が確認できている。今後個体を増やし、タンパク発現を確認する予定である。C9orf72-KIマウスはdonor DNA, crRNA, tracrRNAおよびCas9を導入した卵から個体発生が確認されている。今後標的遺伝子が挿入されているか確認をおこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
TDP-43-KIマウスはタンパク発現を確認したのち、前頭側頭葉変性症患者脳から抽出した不溶性画分を接種し、TDP-43の伝播メカニズムの解明をおこなう。C9orf72-KIマウスは(GGGGCC)nリピートが挿入されていることを確認したのち、その配列からジペプチド(GA, GR, GP, PA, PR)リピートが脳内で産生されるかを確認する。また、TDP-43の蓄積が増加することも確認する。
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Causes of Carryover |
物品購入時に数社から見積を取り、安価で納入できる業者を選択したため、若干の節約ができたと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬費または消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(10 results)