2015 Fiscal Year Research-status Report
在宅家族介護者における抑うつ症状発症率とリスク要因の解明:地域調査の縦断的解析
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15K09852
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
荒井 由美子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 長寿政策科学研究部, 部長 (00232033)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家族介護 / 抑うつ症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第二次富山調査(以下、T2調査)で得られたデータを用い、横断的な検討を行うことを目的として、T2調査で得られたデータから有効回答者を抽出し、データクリーニングを行った。続いて、クリーニング後のデータを用いて、抑うつ症状を呈している家族介護者の割合を算出し、家族介護者における栄養状態の評価を行い、さらに抑うつ症状の有無による栄養状態の差異を検討した。また、第一次富山調査(以下、T1調査)のデータを用いて、追跡調査であるT2調査の代表性の検証を行った。なお、家族介護者における抑うつ症状の有無の評価には、the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)を用いた。栄養状態の評価には、Mini Nutritional Assessment(MNA)を用いた。 T2調査における有効回答者を抽出するために、調査票の返送がなかった者、1問も回答がなかった者、拒否と記載のあった者を対象外とした。また、要介護高齢者の死亡、入院、入所等による在宅介護中断者、および、家族介護者の体調不良による在宅介護中断者も対象外とした。 T2調査の有効回答者において、抑うつ症状を呈していた家族介護者と、抑うつ症状を呈していなかった家族介護者の栄養状態を比較したところ、前者の栄養状態が有意に低かった。 また、T2調査に先駆けて行ったT1調査参加者の介護状況の確認により、転帰が明らかになった者(註:明らかになった者のうち在宅介護を継続していた者がT2調査に参加)と転帰が不明であった者におけるT1時点での要介護高齢者および、家族介護者の属性を比較したところ、有意差は認められなかった。以上の結果から、T2調査の対象者において、サンプリングバイアスは認められないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、本年度実施予定の有効回答者の抽出、データのクリーニング、代表性の検討を完了しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
T1時横断データとT2時横断データをリンケージさせ、縦断データファイルである、TFCS縦断データを作成する。この縦断データファイルを用いて、CES-D得点(T2)とCES-D得点(T1)との得点を比較する。 さらに、TFCS縦断データにおいて「T1時に抑うつ症状を呈していなかった介護者のうち、T2時に抑うつ症状を呈するようになった介護者」(A群とする)と「T1時に抑うつ症状を呈していなかった介護者のうち、T2時に抑うつ症状を呈しなかった介護者」(B群)を同定する。 →A/A+Bを計算することで、追跡期間中の、家族介護における抑うつ症状の発症率を明らかにすることができる。 次にA群とB群の特性を比較し、家族介護における抑うつ症状の発症に係る要因を明らかにすべく解析を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初の見込額よりも、過小額で、研究を遂行することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、データリンケージ等に人員を要するため、人件費等で使用する予定である。
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