2015 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の発症を特異的に予測する検査法の開発:機能MRIによる自我障害の研究
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15K09856
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 洋夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00173815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 和紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40301056)
杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60396546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | schizophrenia / disturbance of the self / delusion of control / forward model / contingency error / prediction error / sensory attenuation |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の自我障害は、感覚結果を引き起こしたのは自己か外的要因か、という神経基盤が障害されて生じると想定されている。そこでは「感覚減弱」と「予測誤差」が生じるが、両者を区別することでより自我障害に関連する脳領域を同定することに繋がる。そのため、まずは健常者を対象に解析を行った。 対象は心身ともに健康な男女30名を募集し、実験に参加したのは計28名。スクリーニングテストなどを行った上で、fMRI、構造MRIの撮像を行った。fMRIの行動データを解析し、課題の遂行率が90%を下回った2名は除外した。26名の平均年齢は21.0歳、男女比は16:10。MRIはPhilips Medical Systems社のAchieva 3Tを、刺激提示ソフトはneurobehavioral systems社のpresentationを、解析にはMathWorks社のMATKAB R2014aとWellcome Department of Imaging Neuroscience社のSPM8を使用した。 事象関連デザインにおける標準的な2段階解析を行った。個人レベルの解析で、外的要因による聴覚刺激条件と自己行為による聴覚刺激条件のコントラストを作成。それを基に群レベルの解析をone-sample t test (p<0.001 uncorrected, cluster size; FEW p=0.05 )で施行した。「感覚減弱」と「予測誤差」の両者に関連する領域として、両側下前頭回、右補足運動野、右側頭頭頂接合部、右上側頭回、左側頭極に活動が認められ、右上側頭回のみが「感覚減弱」に関わり、それ以外は「予測誤差」に関わる脳領域である可能性が示唆された。 現在、上記の論文を作成中で、また、課題の難易度を最適化した上で患者群に対しても実験を行い自我障害の病態を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・健常対象者への実験で、患者を対象とすることを想定した場合に、課題の難易度が高いことが判明した。このため、患者向けの実験を行うための課題の調整が必要となっている。 ・データ収集、解析などを行う研究協力者が、個人的事情で一時的に研究実施のためのエフォートが低下する時期があった。
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Strategy for Future Research Activity |
・患者を対象とした研究が行えるように課題の調整を終えることで、新たに患者を対象とした実験を来年度に実施できる予定である。 ・データ収集、解析などを行う研究協力者の個人的状況が改善し、研究実施のためのエフォートが、予定していた程度に改善しており、今後予定した研究を遂行できる見込みである。
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Causes of Carryover |
・上述したとおり、研究に遅れが生じたために、予定していた、学会への参加や消耗品の使用などが支出されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・次年使用額については、情報収集のための学会参加、研究に必要な解析ソフトや刺激課題作成ソフトの使用料によって、適正に研究費を使用する計画である。
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