2017 Fiscal Year Research-status Report
認知行動療法の効果予測指標および効果判定指標の開発についての研究
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15K09857
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大渓 俊幸 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 准教授 (60456118)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不安障害 / 認知行動療法 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳画像と臨床指標を用いて不安障害患者群と健常者群を比較する横断的な検討と、患者群に認知行動療法を施行した時にもたらされる変化を継時的に追跡する縦断的な検討を行う。これらにより患者群で見られる特徴だけでなく、認知行動療法によりもたらされる効果を生物学的指標と臨床指標から明らかにする。さらに、このようにして得られた結果から治療効果予測指標と効果判定指標を開発して不安障害の治療選択の際に貢献できる客観指標を提供することを本研究の目的としている。 平成29年度も前年度と同様に研究協力への同意が得られた社交不安障害患者と比較対照となる健常者に対し、MRI検査、構造面接、各種質問紙を用いた症状や状態像の評価を行った。また、社交不安障害患者に対しては週に1回の認知行動療法を施行し、認知行動療法の治療プログラム終了後には再度MRI検査と各種の臨床指標による症状と状態像の評価を行い、認知行動療法によりもたらされる変化を解析できるようにした。なお、平成29年度に解析結果の中間報告を行う予定でいたが、平成28年度までに比べて被験者のリクルートが難航したため、被験者数を増やすためのリクルート、測定・評価、認知行動療法の実施を優先して結果の報告は最終年度にまとめて行うことにした。 今後の研究の展開にとしては、平成30年度中に十分な対象者数で解析が行えるようにして被験者のリクルート、認知行動療法、測定を終了する。認知行動療法の前後で測定したMRI画像は大脳灰白質の体積と白質の性状を解析し、各種の臨床指標とともに患者群と健常者群の間で比較し、患者群は認知行動療法によってもたらされる大脳灰白質の体積や白質の性状の変化と臨床症状の変化の間に見られる関連について明らかにする。また、最終年度となる平成31年度には得られた成果の公表を行うことを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では十分な数の対象者数をリクルートすることができないために研究全体の進捗に影響が出ることが考えられた。このため、被験者のリクルートから認知行動療法の施行、認知行動療法の治療プログラム終了後の測定や状態評価に十分な期間を設ける必要があった。平成29年度は平成28年度までよりも被験者数を増やすペースが落ちたため、当初予定していた国際学会での中間報告を中止し、被験者のリクルート、測定・評価、認知行動療法の実施に専念した。その結果、平成29年度が終了した時点の進捗状況としては当初の研究計画通りの進捗状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度中に十分な被験者数で認知行動療法を行い、治療前後でMRIの測定と各種臨床指標による評価を行い、リクルート、認知行動療法、測定・評価を終了する。 得られたMRI画像は大脳灰白質体積の測定、白質の性状の解析を行い、臨床指標とともに患者群と健常者群の比較を行う。また、患者群では認知行動療法によりもたらされる大脳灰白質体積や白質性状の変化と臨床指標の変化の関係について解析し、認知行動療法の効果予測指標と効果判定指標を開発することを目指す。 最終年度となる平成31年度には成果を学会発表と論文で公表できるように準備する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究の進捗状況を考慮して研究計画作成当初に予定していた海外出張を延期した。このため、研究費の未使用分を次年度に繰り越すことになり、次年度使用額が生じることになった。
(使用計画)十分な被験者数で脳画像の解析と統計解析が終了した時点で海外出張し、研究成果を発表することを予定している。
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