2015 Fiscal Year Research-status Report
脳に発現する免疫分子MHCの注意欠如・多動性障害への関与
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15K09862
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中原 大一郎 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (80128389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 元 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (70613727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MHC-I / マウス / 多動性 / 衝動性 / 不注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ドーパミンシナプス結合の変化が推定されるMHC-I欠損型マウスが、注意欠如・多動性障害(ADHD)の新たな動物モデルになり得るか否かについて検索することである。 本年度は、MHC-I欠損型マウスが示すADHD様行動(多動性、衝動性、不注意)の特徴について調べた。(1)自発活動の日内リズムについて:野生型マウスに比べ、MHC-I欠損型マウスの移動活動量は夜間において有意に多かった。(2)移動活動量に及ぼすドーパミン受容体1(D1R)アゴニスト、ドーパミン受容体2(D2R)アゴニストおよびドーパミン輸送体(DAT)阻害薬コカインの効果について:D1RアゴニストとDAT阻害薬の投与による移動活動量の増加は、野生型マウスに比べ、MHC-I欠損型マウスにおいて有意に大きかった。一方、D2Rアゴニストの投与効果については群間差が認められなかった。(3)空間課題と逆転課題の学習機能について:空間学習と逆転学習の成績に群間差は見られなかった。(4)単純反応時間課題による注意機能および衝動性について:MHC-I欠損型マウスのフライング率(衝動性の指標)は、野生型マウスに比べ、有意に高かった。また、反応潜時(注意機能の指標)も、野生型マウスに比べ、MHC-I欠損型マウスで遅れる傾向が観察された。以上の結果から、MHC-I欠損型マウスにおいて多動、衝動性、不注意の行動障害が出現することが示唆された。 なお、計画よりやや早く実験を終えることができたので、次年度以降の研究の一部について予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、MHC-I欠損型マウスが示すADHD様行動の特徴について検索した。当該年度に予定した研究をすべて計画通りに実施することが出来た。その結果から、MHC-I欠損型マウスにおける多動性、衝動性および不注意の特徴について詳しく分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究により、MHC-I欠損型マウスがADHD様行動(多動性、衝動性、不注意)を示すことが明らかになった。そこで、28年度は、当初の計画通り、人のADHD治療薬であるメチルフェニデートがMHC-I欠損型マウスのADHD様行動にも有効に働くかどうかについて検索する
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Causes of Carryover |
予定以上にMHC-I欠損型マウスの繁殖率が高かったことから、実験動物の飼育と維持管理にかかる費用を減らすことができたため。また実験が効率的に進み消耗品購入費を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者(4月より他機関へ異動)との共同研究のための旅費と実験補助の謝金等に使用する。
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