2017 Fiscal Year Research-status Report
緊張病症状の病態仮説の拡散テンソル画像による形態学的検証
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15K09863
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00252354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70219278)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緊張病 / 前頭葉 / 気分障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
緊張病症状を伴う双極性障害症例を含む非定型精神病の脳白質微細構造に関して、結果の一部は第114回日本精神神経学会学術総会において報告する。TBSSを用いて非定型精神病群の白質骨格を健常群と全脳レベルで比較した結果、salience networkを構成し視床下部とも連絡する前頭前野眼窩部白質、default mode networkのハブである後部帯状束白質、その他にも情動・注意・遂行制御・言語・視覚などの機能に関与する広範な領域の白質障害が示唆された。 また、昨年はTBSSを用いて緊張病症状を伴う双極性障害1例と健常者22例の2群の全脳白質骨格を比較したが、TBSSよりも感度の良いROI法を用いた比較を試みた。FSLで使用可能な標準脳アトラスに基づいて代表的な白質神経束をROIとして設定し、昨年のTBSS解析の準備段階で作成したデータから、上記ROIに属するボクセルの平均FA, MD, AD, RD値を抽出し、SPSSで処理して解析した。健常群全例よりも逸脱した数値を示す白質神経束として、前頭前野眼窩部白質でAD高値、右側内側前頭前野でRD低値、右側補足運動野白質と右側運動前野白質でMD,RD低値、両側下小脳脚でMD高値がみられ、これらは緊張病症状の不安・情動処理と運動のプログラムに関連する脳領域として従来から報告されている領域に一致する。 しかし対照群を健常者とした比較では緊張病そのものよりも双極性障害の白質障害をみている可能性があり、対照群を健常者ではなく双極性障害とするべく、非精神病性双極性障害のみで20例の集積を目指していたが、研究期間を延長しても困難である見通しであり、対照群は年齢・性別を一致させた精神病性・非精神病性双極性障害として最低20例を集積し、双極性障害における緊張病症状の脳白質障害を双極性障害群との比較で解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
統合失調症の緊張病症状を対象とすればサンプル数の蓄積はもう少し進捗するかもしれないが統合失調症そのものの異種性がある。本研究ではサンプルの均質性を考慮して「気分障害で緊張病症状を呈する被験者」を、気分障害の中でも単極性うつ病は除外して双極性障害に限定し、脳構造の加齢変化を除くため50代以下に限定し、うつ病性昏迷は除いている。サンプルの均質性を確保するために被験者の登録基準を厳密にしていることと、登録基準を満たす被験者でも登録の拒否があるため、被験者の集積が遅れている。上記の定義を満たす緊張病症状そのものが稀少であることを反映しているとも考えている。典型的な緊張病1例対非緊張病多数例の2群間の比較方法を試行するため、上記研究実績に記載したように健常者を対照群として1例対多数例のTBSSおよびROI法による比較解析のパイロットスタディを行いつつ、対照群となる非緊張病群のサンプル数集積に努めたが集積が十分でなく、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
厳密な基準を満たす典型的な緊張病症状を伴う双極性障害1例と、年齢・性別を一致させた、緊張病症状を伴わない双極性障害患者群との1例対多数の2群比較をおこなう。TBSS、ROI、fiber tractgraphy を用いて比較解析する。TBSSの1例対多数例の比較に必要な最低20例を集積することを優先して、緊張病症状を伴わない双極性障害被験者は精神病症状の有無は問わないことにする。VBMにより脳の容積変化のある領域を検出するために同様の解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
本研究ではサンプルの均質性を考慮して「気分障害で緊張病症状を呈する被験者」を、気分障害の中でも単極性うつ病は除外して双極性障害に限定し、脳構造の加齢変化を除くため50代以下に限定し、うつ病性昏迷は除いている。サンプルの均質性を確保するために被験者の登録基準を厳密にしていることと、登録基準を満たす被験者でも登録の拒否があるため、被験者の集積が遅れている。厳密な基準を満たす典型的な緊張病症状を伴う双極性障害1例と、年齢・性別を一致させた、緊張病症状を伴わない双極性障害患者群との1例対多数の2群比較をおこなう。TBSS、ROI、fiber tractgraphy を用いて比較解析する。TBSSの1例対多数例の比較に必要な最低20例を集積することを優先して、緊張病症状を伴わない双極性障害被験者は精神病症状の有無は問わないことにする。VBMにより脳の容積変化のある領域を検出するために同様の解析をおこなう。
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