2016 Fiscal Year Research-status Report
摂食障害の衝動性に関する心理社会的要因と神経基盤についての総合的研究
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15K09864
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野間 俊一 京都大学, 医学研究科, 講師 (40314190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 輝久 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (20447973)
杉原 玄一 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70402261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 脳機能画像 / 衝動性 / 窃盗 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、京都大学医学部附属病院精神科神経科にて治療中の摂食障害患者を対象として脳機能画像検査を施行して社会認知を調べる研究Aと、和歌山刑務所にて窃盗のために服役中の摂食障害患者を対象として半構造化面接と心理検査を施行する研究Bを並行して行った。 研究Aでは、摂食障害患者10名と健常被験者10名に対して、心理検査、社会認知評価、報酬系課題(MIDT課題とGo-NoGo課題)による脳機能画像検査を行い、昨年度と今年度に収集したデータを解析して、複数の学会発表を行った。まず、過食排出を伴う摂食障害(BP)患者のうち、複数の衝動性をもつ群(MI)と衝動性のない群(NMI)と健常群を比較したところ、損失予測課題においてNMI群で他群に比べて尾状核と島皮質の活動が上昇し、その活動は行動賦活系の心理尺度の得点と逆相関を認めたことから、MI-BPとNMI-BPとでは動機付けシステムが異なる可能性が示唆された。また、神経性やせ症(AN)群と健常群について自閉症スペクトラム指数(AQ)と安静時脳活動を行ったところ、自閉症患者で異常が認められるというdefault mode network(DMN)が海馬傍回において低下していたが、DMNとAQスコアとの間に相関は認められなかったことから、AN患者において自閉症スペクトラム傾向が実行機能に与える影響は健常者と異なる可能性が示唆された。さらに、食行動関連課題における安静時脳活動を神経性やせ症と健常群とで比較したところ、神経性やせ症においてsalience networkとbasal ganglia network間の結合が健常者と比較して高く、その結合度は、食行動に関する独裁者ゲーム課題でのより多くの食料を摂取しようとする傾向と反比例していた。 研究Bは、引き続き調査を進め、30人の調査を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集を行いつつ、少しずつ成果を学会や論文で発表できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Aでは、あらたにデータを採りつつも、学会や論文での成果発表が主になるだろう。 研究Bでは、あと10例のデータ収集を見込んでおり、来年度後半で成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り予算を使用したが、研究内容の微調整をするために一時被験者リクルートをストップしたため、予定よりも謝金額が少なくて済んだことから、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度からあらためてデータ収集を再開するため、次年度使用額を含めた予算をすべて使う予定である。
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