2017 Fiscal Year Annual Research Report
Psychosocial assessment of living liver donors and recipients: a retrospective and prospective study
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15K09868
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光安 博志 九州大学, 大学病院, 特別教員 (00533176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 弘詔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50224762)
大橋 綾子 九州大学, 大学病院, 助教 (50774519)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リエゾン精神医学 / 生体肝移植 / せん妄 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,肝臓移植治療を受けたドナー113名、レシピエント113名について診療録を後方視的に調査した。ドナーは術前の精神疾患受療歴有り0.9%、術後精神症状有り17.7%であった。レシピエントは術前の精神疾患受療歴有り15.6%、術後精神症状有り49.6%であった。術後の主な精神症状の内訳は、ドナーは不眠16.8%、レシピエントはせん妄11.5%、不眠35.4%であった。 2,前方視研究として、生体肝移植術前に参加開始した患者を2年間追跡中であり、すべての結果収集は2020年3月末を予定している。2018年3月末までに参加開始した対象者の内、ドナー39名、レシピエント37名の術後6ヶ月までの経過について解析を行った。ドナーの10.3%は術前に精神疾患受療歴が有り、23.1%は術後に精神症状(不眠20.5%、他)を呈していた。レシピエントの13.5%は術前に精神疾患受療歴が有り、44.4%は術後に精神症状(不眠25.0%、せん妄19.4%)を呈していた。 レシピエントにおいて、術前に精神疾患受療の有る患者、また術前の肝硬変重症度(MELDスコア)が高い患者は術後にせん妄を生じやすかった。一方、手術時間、年齢、性別、術前Child-Pughスコア、肝臓のグラフト種類、Clavien分類(術後合併症重症度)は術後のせん妄の有無に関連が無かった。 レシピエントは、術前と比較して術後3ヶ月で不安と抑うつが改善し、6ヶ月後も改善を維持できていた。精神的健康度も術後3ヶ月以降改善した。社会生活機能は術後6ヶ月で改善していた。一方ドナーは身体的健康度が術後3ヶ月で有意に低下し6ヶ月後も術前のレベルに戻っていなかった。精神的健康度は術後3ヶ月で上昇していた。 生体肝移植におけるドナーとレシピエントは精神・身体的回復に異なった経過を経ることが示唆された。
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