2017 Fiscal Year Research-status Report
南九州における地域在住高齢者の抑うつに関する縦断的介入研究
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15K09870
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤瀬 昇 熊本大学, 保健センター, 教授 (20305014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 学 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60284395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者の抑うつ / 地域介入 / 地域コホート / 自殺対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は上校区を対象とし、8月10日付けで1580名の高齢住民に「こころの健康アンケート」を郵送し、765名(48.4%)から有効回答を得た。そのうち一定の基準(GDSが6点以上、経済的困窮、希死念慮)に該当した220名(28.8%)に対し2次調査の案内を郵送し、10月24日と10月31日にあさぎり町上保健センターにおいて精神科医による2次の面接調査を実施した。その結果、63名(28.8%)が2次調査に参加し、うつ病3名、認知症1名、その他2名が診断され、かかりつけ医への情報提供や役場保健師への経過観察依頼を行った。一方、2次調査に不参加だった該当住民に対しては、11月7日~11月20日にかけて電話調査を実施した。 平成26-28年の3年間の調査において、参加者を、面接調査により保健師フォローとなった群(A群:32名)、面接で問題なかった群(B群:170名)、電話調査により保健師フォローとなった群(C群:67名)、電話調査で問題なかった群(D群:486名)、電話が繋がらなかった群(E群:76名)の抑うつについて比較してみたところ、A群とC群は抑うつが疑われる(GDSがカットオフ値以上)人の割合と抑うつの程度(GDS平均点)がB群およびD群よりも有意に高いことが判り、今回の調査においてA群とC群は概ね類似した抑うつを呈した集団であることが推測された。したがって、面接調査への参加率は依然低いものの、抑うつ者のスクリーニングにおいてPHQ-2を用いた電話調査は一定程度有効に機能していると考えられ、これらの結果を第41回日本自殺予防学会(筑波)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実態調査については例年通り、順調に行うことができ、電話調査についても、近隣の精神科病院に所属する精神保健福祉士3名の協力が得られ、さらに夕方以降に電話をかけることで大幅に調査の効率が高まり、2次調査への不参加者を対象とした電話調査をスムーズに行うことが出来た。 その一方で、個々の住民における抑うつの経過に関する解析が未だ進んでいない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断研究の特長を生かし、現在、平成22~24年度調査と平成26~28年度調査の両方に参加した対象者において、抑うつの経過に関連した要因を解析しているところである。今後も当該調査を継続することで高齢者の抑うつに関するコホート研究を続けていきたい。
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