2015 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中や授乳中における精神科治療の意思決定支援システムの開発と有効性に関する研究
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15K09880
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
立花 良之 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (50589512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 意志決定支援システム / シェアードデシジョンメイキング / 向精神薬 / 妊婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中に精神疾患のため精神科治療が必要な患者に対し、精神科医師と意見を共有しながら治療を選択するシェアードデシジョンモデルに基づく意思決定支援システムの開発を行った。シェアードデシジョンモデルに基づき、意思決定支援を行うための精神科医用のマニュアル「精神科医のための妊娠・授乳中の向精神薬処方の手引き」を作成した。 このマニュアルは、妊娠中及び授乳中の向精神薬内服についてのリスク・ベネフィットについてこれまでの研究からわかっていることおよび、英国NationaL Institute for Health and Care Excellenceのガイドラインである"Antenatal and Postnatal Mental Health"をもとに、妊娠中期で精神科治療が必要な患者にエビデンスの情報を提供しながら治療選択する意思決定支援プログラムを医療者にわかりやすく解説したものである。このマニュアルを使い、国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター産科に通院中で精神科治療が必要な妊婦に対し、精神科治療における意思決定支援プログラムのパイロットスタディを行った。その結果、介入プログラムの効果があり無作為化比較対象試験実施が妥当であると考えられた。介入プログラムの効果検証を無作為化比較対象試験の手法を用い平成28年度から行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画よりも早く、シェアードデシジョンモデルに基づく意思決定支援システムのプログラムを開発した。そして、そのプログラムをもとに、国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターに通院中で精神科治療を要する妊婦に対し、パイロットスタディを行い、主要アウトカムである利用者満足度質問票日本語版合計点について、介入群の平均点が対照群に比し高い結果を得た。また参加者のアンケートから介入プログラムを改善した。パイロットスタディの結果から本介入プログラムについて、無作為化比較対象試験実施が妥当であると判断した。そのため、平成27年度から無作為化比較対象試験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度中に研究計画の目標症例数の研究エントリーを完了し、また、データ入力・解析を進める。データはintention-to-treatで解析し、評価項目に対する介入プログラムの効果を共分散分析を用いて解析する。また、意思決定支援プログラムに用いた場合の抑うつ尺度改善度及び治療コンプライアンスの予測因子について、ロジスティック回帰分析を用いて同定する。
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Causes of Carryover |
シェアードデシジョンモデルに基づく意思決定支援システムのマニュアルの作成・パイロットスタディ実施・パイロットスタディ参加者のアンケートによる介入プログラムの修正が早く進んだ。そのため、無作為化比較対象試験のエントリー開始を早め、それに伴い、研究参加者への謝金が多く発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度も引き続き無作為化比較対象試験を継続していくため、主たる研究費目として研究参加者に対する謝金を予算計上している。
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Research Products
(6 results)