2016 Fiscal Year Research-status Report
immunoNBによる新しい腫瘍特性超音波造影剤の開発と薬物送達担体としての応用
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15K09884
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
対馬 義人 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20375546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 宏史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50361390)
山口 藍子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座等教員 (80609032)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波 / 微小気泡 / ナノバブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超音波造影効果の高い液体 (PFOB) を含有させたポリマーナノバブルに抗EGFR抗体を結合した『immunoNB』 を合成し、腫瘍特異的超音波造影剤としての有用性評価を行うことを目的とする。昨年度までにimmunoNBの簡便な合成方法を確立できたことから、本年度は得られたimmunoNBを用いてin vivoにおける基礎検討を行った。 ヌードマウスにEGFR高発現細胞であるヒト乳がん細胞MDA-MB-231を移植した担癌マウスモデルを作製した。種々の濃度のimmunoNB懸濁液を皮下に直接注入し、超音波イメージング装置を用いてimmunoNBのin vivoにおける視認性の評価を行った。その結果、50 mg/mL, 25 mg/mLの高濃度のみならず、2 mg/mLの低濃度でも十分に視認可能であった。静脈内投与の場合には注射液は生体内で高度に希釈されるが、初期濃度を高く設定することで、希釈条件下においても腫瘍を描出できる可能性が高いと考えられた。 そこで、静脈内投与を実施し、実際にimmunoNBを用いて腫瘍を造影可能であるか評価を行った。その結果、投与直後には下大静脈を非常に明瞭に造影したが、腫瘍内における造影効果を認めなかった。ImmunoNBの腫瘍内分布を調べるため、イメージング終了後に摘出した腫瘍を用いて凍結切片を作製し、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、immunoNBは腫瘍血管周囲に局在しており、腫瘍細胞へ到達できていないことが明らかとなった。これらの結果から、腫瘍特異的な超音波造影剤を開発するためには、① immunoNB自体の超音波輝度の向上 ② 腫瘍細胞への到達性の向上が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに開発した簡便な合成方法を用いて作製したimmunoNBを用いて一連の基礎評価を達成できた。しかしながら、予期していた腫瘍造影効果が得られなかったことから、研究計画を変更し、新たなナノバブルの設計・合成を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を踏まえ、① immuneNB自体の超音波輝度の向上を目的として、シェル厚対粒子径比の引き下げ、② 腫瘍内到達性の向上を目的として、粒子径の縮小、という二つの方策を立て、種々のimmunoNBについて腫瘍特異的超音波造影剤としての有用性評価を行うことで、最適な性質を有するimmunoNBを選定する。
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