2016 Fiscal Year Research-status Report
スペクトラルマンモグラフィとMRIによる乳癌の宿主・腫瘍側リスクの定量化と層別化
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15K09888
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐竹 弘子 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (00324426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 慎二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50242863)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 画像診断学 / 乳癌 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌の宿主・腫瘍側リスクの定量化を目的に、当院で、術前にダイナミック造影MRIの撮像を施行した乳癌を対象に、MRIの所見を解析し、予後との相関を検討した。解析を行った対象はトリプルネガティブ乳癌40例で、そのダイナミック造影MRIの時間信号曲線を、乳房画像診断専用のComputer-Aided Diagnosis(CAD)を用いて三次元的に解析を行った。時間信号曲の解析はBreast Imaging Reporting and Data System (BIRADS) MRIに準じて、造影初期相と晩期相に分別して行い、更に独自の閾値を設定し、閾値に合致したカーブパターンを示す領域の体積率を測定した。病理組織学的リスク因子の調査や、BIRADS MRIの所見用語に基づいた視覚的なダイナミック造影MRIの形態評価やT2強調像の信号評価も行い、CADで算出されたパラメータと併せ、生存との相関を統計学的に解析した。疾患特異的的生存に対しては、早期造影率の高い血流の多い領域の体積率が高いほど生存予後が悪く、無再発生存に関しては、早期造影率が高く、漸増性に造影されるパターンを呈す体積率が高いほど予後が悪いという結果を示した。造影早期相で高い造影率を示すことは腫瘍の血管増生や透過性の亢進によるものと思われ、過去の報告に合致するものと考えられた。漸増性に造影される領域の体積率が予後との相関したことは、過去に報告がないが、最近、病理学的・分子生物学的にも注目のされている間質の微小環境が関係している可能性が考察された。これらの成果を日本医学放射線学会総会等で報告の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の蓄積が計画より進まず、MRIによる乳癌の評価解析が遅れている。また、宿主側の評価として背景乳腺のMR評価やスペクトラルマンモグラフイの乳房構成の解析が進んでおらず、当初の計画より遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
スペクトラルマンモグラフイおよび乳房MRIの症例蓄積を更にすすめ、宿主側の背景乳腺や乳房構成の画像評価・解析をすすめる。乳癌の解析においては、トリプルネガティブ乳癌のみではなく、全てのタイプの乳癌に対して画像によるリスク因子の解析・予後との相関を明らかにし、長期的な転帰についてまで調査をすすめリスクの層別化を行う計画である。これらの成果を国際学会で発表・情報発信する計画である。
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Causes of Carryover |
研究が計画より遅延し、データの統計学的解析に必要なパーソナルコンピュータやソフトの購入を行っていない。また、研究調査や成果発表のための海外出張が実行できず、旅費の使用が計画より低額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析に必要なパーソナルコンピュータの購入、研究調査や成果発表のために海外学会に参加する。また、論文作成のための調査や校正のための使用を計画している。
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