2016 Fiscal Year Research-status Report
頸部貼付型プローブを用いた新しい微小栓子診断法の研究
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15K09905
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
三村 秀毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30385364)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 右左シャント検索 / 微小栓子シグナル / 頸部血管 / 経頭蓋超音波 / 心原性脳塞栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
頸部血管で安定して右左シャントのスクリーニング検査を行えることを昨年度の研究で確認できたため(現在、論文投稿中)、今年度は経頭蓋超音波と同時に右左シャント検索をする研究を中心に行った。経頭蓋超音波で側頭骨ウインドウが良好な症例で、入院時のスクリーニング検査で右左シャントが陽性の症例が対象となるため、解析対象の症例は19例であった。 結果としては、19例の患者(男性17例、年齢平均値60歳)の76検査を解析した。コントラスト剤由来の微小栓子(cMES)数は全76検査(497 vs.399、 p=0.02)とバルサルバ負荷なし19検査(103 vs. 70、p=0.04)で頸部血管で検索の方が経頭蓋超音波より有意に多かった。一方、バルサルバ負荷あり56検査では頸部血管での検索の方が経頭蓋超音波よりcMES数は多い傾向であったが有意差はなかった(394 vs. 329、p=0.09)。 頸部血管における右左シャント検索は、経頭蓋超音波よりもcMES検出数が多く、臨床的に有用である。一方、バルサルバ負荷時の検索でcMESの数は多いものの有意差がつかなかったのは、バルサルバ負荷時の波形減弱や頸部の動きによるアーチファクトの影響が考えられ、今後はこれらの対策が必要と考えられる。 心原性脳塞栓症における微小栓子モニタリングは4例で行ったが、いずれも栓子シグナルは認められなかった。昨年度同様、発症48時間以内の早期に検査を施行できない症例が多いことが課題であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経頭蓋超音波と頸部血管での右左シャント同時検索の研究では、経頭蓋超音波で側頭骨ウインドウが良好な症例で、入院時のスクリーニング検査で右左シャントが陽性の症例が対象となるため、対象症例が限定され、当初の計画より少数での解析しかできなかった。 心原性脳塞栓症での微小栓子モニタリングでは、昨年度同様に夜間や休日を含めた検査体制の整備がうまく調整できなかったことが理由と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳卒中患者数は正確な予測がつかないため、対象となる症例を漏らさずに登録することが可能な検査体制を整えることが重要である。入院時もしくは入院翌日に、スクリーニングで右左シャント検索を行うため、その時点で右左シャント陽性例、心原性脳塞栓症が強く疑われる例(心房細動を有する症例や弁膜症を有する症例など)の情報を速やかに吸い上げ、早期に頸部血管での検索も行えるようなシステムを構築する。
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Causes of Carryover |
2017年2月の国際学会の旅費が年度末に近い処理となり、年度内に手続きが完了しなかった。次年度の2017年4月に必要書類が揃い、手続きを行った。 データ解析は、昨年度は登録症例数が少なかったため、症例がある程度蓄積してから行う計画であり、次年度に必要物品を購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費の精算は2017年4月に行い、現在処理中である。 症例数が蓄積され、データ解析や保存が必要となる次年度に、必要な物品を購入する予定である。
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