2015 Fiscal Year Research-status Report
人工知能と心疾患リスクモデルとを統合した次世代型画像診断システムの開発
Project/Area Number |
15K09947
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中嶋 憲一 金沢大学, 医学系, 准教授 (00167545)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 画像診断 / 人工知能 / 心臓核医学 / 多施設研究 / リスクモデル / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓画像診断に、患者の症状、臨床経過、生化学情報、神経機能情報含めた総合的判断の過程を組み込んだ人工知能による心臓診断方法を開発することが本研究の目的である。以下にその実績の概要を示す。 1. 心臓機能解析のための多施設共有データベース改訂:日本核医学会ワーキンググループは2013年11月から2年計画で、国内の10施設以上が参加(申請者が班長;国立循環器病センター、東京女子医大、金沢大、金沢医科大、市立秋田総合病院、日本医大、東京医大、愛媛大、他)して実施されたが、そのデータを元に正常データベースを構築して、心臓で使われる各種の指標の正常値を決定する基盤を作成した。またこのデータは、今後のソフトウェア開発の基礎となる。 2.人工知能による虚血診断ソフトウェアの開発:虚血量を推定する新ソフトウェア開発を開始したが、人工ニューラルネットワークにより心筋の各種特徴量から異常領域を推定するアルゴリズムを想定している。このデータ解析のために、多施設研究を組織して、虚血あるいは心筋血流欠損を有する症例を含めた約1000例のデータ収集まで完了した。 3.交感神経イメージングによる指標の標準化:I-123メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)による交感神経画像の解析についてはは、診断から施設間の相互較正、予後評価までを一連のアルゴリズムとして評価する死亡リスクの初期モデルを作成した。交感神経指標として用いられる心縦隔比については、国内の多施設でのファントム実験が進行して、共通のデータベースを作る基盤まで達成できた。さらに、現在、欧州での施設間校正のためのファントム実験を実施しており、世界的に共通のデータベース作成に発展できる可能性がある。SPECTを用いた心縦隔比にも、本標準化が応用できるかどうかの検討はフランスの研究者と共同で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多施設研究を元にした標準値の確定とデータベースの整備は予定通り進行している。人工知能を応用したソフトの作成についても、基礎となるソフトウェアの「学習」データベースまで構築が進んでいる。死亡リスクモデルについても、その初期モデルが完成してその検証段階に入っている。それぞれ、論文化も終了あるいは進行中であり、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に必要とされるソフトウェア間の指標の相互校正については、基本のデータベース作成は終了しているので、今後関連するソフトウェアの種類とパラメータを決定して具体的に妥当性の検討を行う予定である。 心臓用の専用コリメータを用いた心筋血流画像のデータベースについては一部が未確定のため、今年度に確定して精度の確認と臨床応用に入る。 心筋交感神経イメージングの指標については、国内の多施設研究に加えて、アムステルダム大学およびハンブルク大学の研究者とも共同で研究を実施して、国際的な指標の統一を目指す予定である。この研究によって、過去のMIBG検査に関連した成果も、統合できる可能性がある、 人工知能による虚血診断については、学習用データベース作成まで終了しているので、人工知能の応用についての初期ソフトウェアの作成を行う。さらに、新たな検証用データベースを構築して、人工知能と専門医の判定の差の大きい症例について再検討を行う。このような精度の確認の段階を経て、再度コンピュータのトレーニングを行う。 心不全における死亡リスクモデルは、その基本モデルまで作成できたが、現在、検証用に多施設でのデータベースを構築中なので、今後この予後予測モデルの妥当性を検証する予定である。心臓死に関して低リスク、中リスク、高リスクに分けてその予測と実際に生じたイベントの差を比較検討する。さらに問題点が見いだされれば、その原因解明と、リスクモデルの改訂を実施する。
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