2016 Fiscal Year Research-status Report
癌の原発巣、造骨性・溶骨性骨転移の同時診断治療を可能とする放射性薬剤の開発研究
Project/Area Number |
15K09948
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (30347471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セラノスティクス / 骨転移 / イメージング / PET / RI内用療法 / プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究までに、転移性骨腫瘍と癌原発巣の同時イメージングを目的として、造骨性骨転移部位への輸送担体としてアスパラギン酸ペプチドDnを、αVβ3インテグリン高親和性の癌組織への輸送担体としてRGDペプチドを、放射性Gaの導入部位であるGa-DOTA錯体を同一分子内に導入したプローブGa-DOTA-D11-c(RGDfK)を設計、合成し、評価した。その結果、担癌マウスにおいて、癌と骨とに高い放射能集積を示し、その有用性が示された。このプローブにおいて、アスパラギン酸ペプチドリンカーはL-アスパラギン酸を繰り返し結合させたペプチドを用いている。しかし、D-アミノ酸ペプチドの方がL-アミノ酸ペプチドよりも生体内安定性が高いため、プローブの構成アミノ酸として適している可能性がある。今年度は、L-アスパラギン酸ペプチドDnとD-アスパラギン酸ペプチドdnのRIの骨指向性キャリアとしての相違について検討した。Ga-DOTA-DnとGa-DOTA-dnを合成し、評価した結果、ハイドロキシアパタイトへの親和性は差がなく、尿分析によりD-アスパラギン酸ペプチドの方が生体内安定性は高いとの結果が得られた。しかし、Ga-DOTA-DnとGa-DOTA-dnのマウス体内放射能分布を比較した結果、両プローブの血液クリアランスが著しくはやかったため、安定性が体内分布に反映されず、差は観察されなかった。しかしながら、一分子内に複数のキャリアを導入する本薬剤設計コンセプトにおいては、血液クリアランスがGa-DOTA-DnやGa-DOTA-dnほどは速やかではないために、ペプチドリンカーとしてD-アスパラギン酸ペプチドを用いることにより体内動態が改善する可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは、実施内容の変更は生じたが、プローブ体内動態改善のための基礎的検討は行うことができたため、おおむね順調だといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本薬剤設計コンセプトが他の輸送担体にも応用可能であることを確認するためにRGDペプチドとは異なる腫瘍指向性輸送担体を用いた分子プローブを現在合成中であり、今後、評価を行う。また、骨転移モデル動物を作製し、本薬剤設計コンセプトによる分子プローブの有用性を評価する。 一方、本研究は、診断・治療をカップリングさせたセラノスティクスへの応用を目的としている。昨年度は、放射性核種の入手が困難であったため実施できなかったが、Y-90、Lu-177といった治療核種を用いて標識を行い、Ga標識化合物と同様な評価を行い、体内動態の類似性を確認し、その後、モデル動物に対する治療実験を行い、その有用性を評価する。
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Research Products
(1 results)