2016 Fiscal Year Research-status Report
婦人科腫瘍診断を目指したプロゲステロンレセプターイメージング薬剤の開発
Project/Area Number |
15K09950
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (40397287)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロゲステロンレセプター / PET薬剤 / 自動合成装置 / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、婦人科腫瘍に深く関与しているプロゲステロンレセプター(PR)の生体内イメージングを目指し、ポジトロン断層撮影法(PET)用放射性薬剤フッ素-18標識Fluoro furanyl norprogesterone ([F-18]FFNP)の簡便合成法の確立およびその動態評価を目的としている。 [F-18]FFNPは、女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンの誘導体で、構造内に含まれるフッ素をポジトロン核種の放射性フッ素-18で標識したPET用PRイメージング薬剤として期待されている。この薬剤はPRに選択的な親和性を有し、最近の臨床研究において乳ガン患者のPR陽性腫瘍組織に集積することが報告されている。しかし、[F-18]FFNPの腫瘍細胞に対する集積量と PR密度との関係は未だ明らかになっておらず、その一因として、自動合成化された報告がなく、海外でもごく限られた施設でしか実施されていないことが挙げられる。本年度は、昨年度に引き続き申請者らが開発した汎用拡張型PET薬剤合成システムを用い[F-18]FFNPの自動合成を試みた。フッ素-18は、院内小型サイクロトロンにて[酸素-18]水をターゲットとしてプロトン照射し製造した。次いで、得られた[F-18]フッ素イオンを陰イオン交換樹脂で精製し、種々の濃度の炭酸カリウム/クリプトフィックス222混合液で反応用バイアルに溶出させた。溶媒を除去後、前駆体のFFNPメシル体/アセトニトリル溶液を加えフッ素-18標識反応を行い、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィー法にて精製した。その結果、炭酸カリウム/クリプトフィックス222混合液量、前駆体量および反応温度に標識率が依存することが確認された。現在、より高収率で得られる反応条件を検討し、合成プログラムの修正等を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[F-18]FFNPの合成について、申請者らが開発してきた汎用拡張型PET薬剤合成システムを用いて試み、反応に使用する溶媒や試薬数に応じた装置レイアウトの設計ならびに合成プログラムの作成を行った。フッ素-18を用いた合成では、[F-18]フッ素イオンの抽出ならびに標識反応触媒に用いる炭酸カリウム/クリプトフィックス量、前駆体量、反応温度等のパラメータを変動させ最適化を行った。その結果、炭酸カリウム/クリプトフィックス量を減らし、前駆体量を増加させると標識率が向上する傾向が見られた。しかし、前駆体が高価であるため[F-18]FFNPの必要量に応じ使用量の調整を行わなければならない。また、標識反応温度では、110℃よりも60℃で標識率が高かったため、反応容器の冷却機能を改善する必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
[F-18]FFNPの自動合成法について、さらなる最適化を行い安定供給可能なシステムの構築を行う。その後、細胞を用いた薬剤の動態解明に着手する。
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Causes of Carryover |
昨年度に海外メーカーより購入した標識前駆体が為替の影響で購入金額が確定しなかったため今年度より繰り上げを行ったが、見込みより低額であったため残予算が発生した。今年度は概ね当初の計画通りに予算を執行することができたため、次年度に持ち越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品(合成試薬等)に用いる予定である。
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