2016 Fiscal Year Research-status Report
ボツリヌス毒素を用いた四肢末梢動脈硬化病変血流量改善の試み
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15K09953
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
園田 明永 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00571051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 信一 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30583637)
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40324587)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 除神経 / 降圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定した大腿の筋肉へのボツリヌス毒素投与は、ウサギなどの主に後肢を使って移動する動物については片脚の大腿四頭筋とはいえ、その運動性を大きく低下させる結果となった。そして、活動性の低下のためか、食欲減退を来し、多くの個体が食事を取らなくなり、長期生存が望めないと判明した。そのため、4ヶ月といった期間で血流を評価することは困難となった。その後、投与部位を大腿の筋肉ではなく、腎動脈周囲の神経を対象として、腎動脈周囲組織に変更、投与方法はエコー下での経皮的穿刺とすることで活動性の低下や短期間でのウサギ個体の死亡問題は解決できた。この方法にて術前から術後4ヶ月の下肢血流評価を行ったが、結果としてわかったことは、ボツリヌス毒素の投与は、MRIやサーモグラフを用いた方法では、明確な血流改善は検知できないか、または血流改善効果自体がないことが予想された。しかし、この実験の副持参物として、ボツリヌス毒素の腎動脈周囲への投与は全身の血圧降下作用を誘引する可能性が示唆され、その効果は腎動脈周囲神経がボツリヌス毒素により麻痺することによりもたらされると予想された。現在、カテーテルや外科手術で行われている除神経術がより簡便にしかも安価に施行しうる可能性があると考えられた。ただし、その結果についても、今後、もう少し精密な血圧評価や対照実験がが必要と考えている。この結果について平成29年度5月18日から岡山で開催される、日本IVR学会総会にて発表予定である。 また現在、IVR関連の雑誌では、世界的に最も有名な一つである、CardioVascular and Interventional Radiology (CVIR)への投稿目指し、論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ボツリヌス毒素の使用が当施設の基準見直しで感染実験に指定されたため、実験方法の改善、実験設備の整備のため、8ヶ月の遅延を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予想とは違う”降圧”という作用を確認できた。 しかし、その投与量や方法、効果の持続、安全性などについては今後、追加実験にて検討していく予定。
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Causes of Carryover |
当施設の基準改訂に伴いボツリヌス毒素を使用した実験が感染実験に準ずるものとなったため、その実験施設の整備、ルールづくり、飼育・処置方法の変更のため、実験に半年以上の遅延が生じ、結果として論文の作成時期がずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度5月中に論文の完成、学会での発表を行いその過程で使用する予定です。
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