2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノメディシンを用いた温熱・免疫療法による腹膜播種の新規治療戦略
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15K09959
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 浩行 岡山大学, 大学病院, 助教 (50613155)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温熱治療 / 磁性ナノ粒子 / 腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、磁性ナノ粒子に交流磁場を印加することで得られる発熱を、悪性腫瘍の腹腔内播種病変に対する温熱治療として応用可能であるかどうかを検討すること、ならびに、本治療法のために新規開発された新規磁性粒子の生体応用への可能性を検証することである。 平成27年度は、①交流磁場発生装置の購入・設置、②新規磁性ナノ粒子とそれ以外の使用候補となりうる複数の磁性ナノ粒子の溶媒中での拡散性・発熱特性などのプロファイリング、③磁性ナノ粒子と腫瘍特異的抗体の結合方法の検討、④株化腫瘍細胞を用いてin vitroにおいて腫瘍選択的なデリバリーが可能かどうかの検討、⑤腫瘍細胞に結合させた磁性ナノ粒子の温熱治療効果の検討、を行った。これまでの検討で、in vitroにおいて磁性ナノ粒子に腫瘍特異的抗体を修飾することで腫瘍細胞へ選択的にデリバリー可能であることを実証し、さらに磁場印加による細胞障害効果(温熱治療効果)を確認することができ、本研究課題の治療コンセプトの実現可能性を証明することができた。次年度以降に予定している動物実験での治療コンセプトの検証へ進む根拠を得ることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた、(1) 交流磁場発生装置の設置、(2) 磁性ナノ粒子の作成とプロファイリング、(3)磁性ナノ粒子の抗体修飾方法の確立、といった本研究の主要なステップにおいて成果を認めた。さらに、平成28年度以降に計画していた検証を前倒しで行い、(4) in vitroで磁性ナノ粒子の腫瘍への特異的デリバリーに成功し、(5) in vitroで磁場印加による細胞障害効果(温熱治療効果)を確認でき、次年度の研究につながる重要な課題は達成できたと考える。一方、新規開発磁性体については、溶媒中での拡散性ならびに抗体との結合に難渋しており検討の余地が残る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究成果を踏まえ、印加する磁場強度や磁性ナノ粒子の粒子径など、治療効果に影響する因子についてさらなる検討を行うとともに、in vitroでの治療効果の再現実験を重ねていく。また、動物実験により本治療法の安全性、治療効果を検証していく。得られた結果は、国内外の学会で報告し、論文報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
交流磁場発生装置の設置には高度な専門知識が必要なため、技術者による出張設置を依頼した。出張費用の見積もりと実費に差があったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
磁場印加のための機器の調整、磁性ナノ粒子の作成および抗体結合に必要な試薬の購入に充てる予定である。
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