2016 Fiscal Year Research-status Report
PET/MRを利用したFDGによる認知症診断精度の向上
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15K09964
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
南部 武幸 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (60706662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 均 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00325292)
伊藤 浩 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20360357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PET/MR / 減弱補正 / 体動補正 / PET定量 / 核医学 / MRI / MOCO |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,PET/MR装置において頭部の体動が脳実質で測定された放射能濃度にどの程度の影響を与えるか研究をおこない発表した.また部分容積効果の影響についても研究を開始したが,UTE法における骨描出の改善をおこなうための新たなるアプリケーションの導入が遅れているため,骨描出の改善については進展がなかった. 今年度の補助金は,主に上記研究を遂行するための撮影用ファントムの購入費と発表並びに情報収集目的のための学会出張費,研究ボランティア撮影のための施設使用費に当てられた.
1.頭部の体動補正が放射能濃度に与える影響については,第36回日本核医学技術学会総会学術大会と第6回核医学画像解析研究会にて発表した.核医学技術学会での発表ではボランティア撮影5名で頭部を固定した状態での画像と,固定を外し体動が発生した画像をPMODで画像解析して比較検討をおこなったが,顕著な差としての体動補正効果は得られなかったという内容となった.しかし解析に使用したPMODが脳の各領域を大きく測定するために違いが得られないという可能性も考えられた.そこで核医学画像解析研究会ではFreesurferを解析に使用して同じ撮影内で撮像されたT1強調画像より皮質のみを抽出し,その画像とフュージョンさせることで得られた各領域の放射能濃度でさらに比較検討した内容の発表となった.この発表では最大で5%程度の違いを認め,体動補正の効果はあったという結果になったが,現在の体動補正の許容範囲が狭く,また5分間のスタティック画像の比較となったため,差があるとすればこの程度ではないかという結論となった.
2.部分容積効果の影響については同ボランティアのT1強調画像を撮像している同時間帯のPET画像を切り出しておこなったが,位置ずれが発生している被験者がいたため,PET/MR装置の精度を含めた位置情報の検証をおこなっている途中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①灰白質分離のための部分容積効果:灰白質の分離に使用されるソフトウェアについては出力されてくる画像が少しづつ違ってきているということが判明したので,その原因を追求しなければ本研究で使用するソフトウェアを決定出来ないことがわかった.重ね合わせをおこなうアルゴリズムについても同様であり,現在は本研究者よりもその方面に詳しい秋田脳研の研究者と打ち合わせをしている段階である.また重ね合わせの段階で位置ずれが発生している例が存在し,これは同時収集のメリットを根底から揺るがす問題となっている.そちらも原因を追求している段階であり研究に遅れを生じさせている.
②真の同時収集による体動補正効果:5名のボランティアで比較検討をおこなった.昨年度同様に体動補正効果が得られる範囲が未だ広がらず,±2cmまたは±8°であることから解析可能なボランティア数も増えてきていないため信頼のおける数値とはなっていない.しかし少ない母数ながら皮質のみを取り出した解析をおこなった結果で最大5%の差があるということがわかり,一定の体動補正効果があることは示せたと考える.
③骨描出における減弱補正法:PET/CTに比べてPET/MRのPET画像は,頭部領域においての放射能濃度だと20%程度低い数値になる問題について以前からメーカーと協議していた.その結果,本年中に新たなUTE法がリリースされる予定であった.しかし未だにリリースされていないため,この問題に関する研究は進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
①灰白質分離のための部分容積効果:まず現在最大の問題となっている位置ずれにについてはメーカーや特にこの分野に詳しい秋田脳研の研究者と連絡を取り合いながら原因の究明につなげ,続けて同じ研究者とソフトウェア並びにアルゴリズムについて決定して研究に反映させていく.またそれと並行してボランティアの母数も増やしデータの正確さの裏付けをしていきたい.
②真の同時収集にによる体動補正効果:ボランティアの母数が少ないので,それを増やし解析の精度を高めていきたい.ただし現在のような,固定具を外し受動的に体動が起きるのを期待している状態では母数が増えていかないと思われるので,能動的に動いてもらうような方法に研究内容を変更する必要があると考える.また自作のファントムでは正しい評価が出来ていなかったためファントム実験を中止していたが,精密なファントムを購入したことによりファントム実験での評価も再開していく.そして最大のネックとなっている,±2cmまたは±8°の体動制限問題についてはメーカーとの協議をすすめて,実用可能な範囲に拡大出来るようにしたい.
③骨描出における減弱補正法:従来のUTE法のみでの骨の描出は困難であり減弱補正に使用できないということが決定的となり,メーカー側からATLAS法を併用した骨の描出に変更した減弱補正法をおこなうとのアナウンスがあった.しかし本年度中に変更されると思われていたが,未だ従来のままである.ただし来年度前半には変更されることが決定済みであるので,それまでにボランティアの母数を増やし,変更前後での評価をしていきたい.
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Causes of Carryover |
物品費:本来購入予定であった皮質を抜き出したり,部分容積効果を解析するソフトウェアを現時点ではフリーのソフトウェアで済ませてしまっているため使用額が減額している.また計画ではこの研究で使用するFDGはデリバリーで購入した製剤だったが,4月より自家製剤のFDGを使用できるようになったため,コストが半分以下に抑えられるようになったことがあげられる.
旅費:診療等内部事情の関係で,予定していた学会(特に国際学会)に出席することが出来なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はFDGのコストが抑えられるようになった関係で,ボランティアによるPET/MR撮像をより増やしていく予定である.また現在アドバイスを頂いている秋田脳研の研究者との話し合いによっては解析に使用しているソフトウェアを新規購入する可能性も高いため,物品費は増加する予定である.また場合によっては,より小径のタイプのファントムとそれを稼働させる装置を購入する可能性もある.
旅費については診療が落ち着いてきたこともあり,学会発表や情報の収集等で必要な学会等に出席して,使用する予定である.
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Research Products
(2 results)